第335話 バブルZONE

クワヤマダくん:「兄ぃ、野田さんが宇宙から戻ってきたのはいいけど、あの人、様子が変だってさ。」


ダイラ:「野田の兄ぃか?あの人は強ぇからな、何があってもヘコたれねえだろうが、どんな具合なんだ?」


クワヤマダくん:「いや、そうじゃねぇんだ。宇宙で見たもんが、あまりにも壮絶だったんだって。なんでも、泡みたいな星がぶくぶく生まれてくる場所を見て、そこで…気絶したらしい。」


ダイラ:「気絶ぅ!?星が泡みてぇにぶくぶく生まれてきた?そりゃ、まるで鍋が煮えすぎた時の湯気だな!あっしも何度か、酒に酔って気絶しかけたが、宇宙で気絶するとは粋じゃねえか!」


クワヤマダくん:「いや、兄ぃ、そんなんじゃ済まねぇよ。野田さん、ただ泡を見たわけじゃねぇ。宇宙の果てが光の速度よりも速ぇペースで膨張してるって知った時、もう心が持たなくなっちまったんだ。」


(そこへ野田さんが入ってくる)


野田さん:「お、おう、二人とも…元気かい?」


ダイラ:「おう、野田の兄ぃ!元気そうじゃねぇか。宇宙で何見てきたんだ?なんかすげぇもんでもあったか?」


野田さん:「元気そうには見えるけど…正直、あの無限の広がりを前に、俺の心は粉々さ。泡が星を生み、星が消えていく。その過程を見ちまうと、あの小さな自分が虚無に吸い込まれそうになってな…気絶するしかなかった。」


クワヤマダくん:「ま、まさか…そんなに壮絶だったのか…?」


野田さん:「おまけに、果てしなく膨張している宇宙の端っこが、俺たちの光のスピードより速いって聞いた時、頭がついていかなくなったんだ。自分がどこにいるのかさえ、分からなくなる感覚だよ。」


ダイラ:「おいおい、そんなこと言ってると、あっしらの頭もパンクしちまうじゃねえか。膨張?それなら、俺たちだって膨らむじゃねえか!心も体も、どんどん広がってやろうじゃねえか!」


野田さん:「でも、ダイラ、あの宇宙の広さは…計り知れない。俺たちの小ささを思い知ったんだよ。何もかもが泡のように消えていく。俺たちはその一瞬の泡に過ぎないんだ…。」


クワヤマダくん:「泡…か。だけど、兄ぃ、考えてみりゃ、泡だって生まれて弾けて、また新しい泡が生まれてくるじゃねぇか。俺たちもその繰り返しで、どんどん広がっていくんじゃねぇの?」


ダイラ:「そうよ!膨張ってのは何も終わりじゃねえ。膨張してるってことは、まだまだこれから広がる余地があるってことだろ?俺たちは宇宙の中で広がる小さな泡だ。そりゃ、泡が消えたら別の泡が出てくる。それが俺たちの生き様ってもんよ!」


野田さん:「広がり続ける…か。そうか、宇宙は終わりのない膨張だ。俺たちもまた、その膨張の一部だと考えれば…少しは気が楽になるかもしれない。」


ダイラ:「そりゃそうよ、野田の兄ぃ!宇宙がどんどん膨張してるなら、俺たちも一緒にどんどん広がっていくんだ。泡だって膨張して、どんどん新しい泡が生まれてくる。だから、あんたが気絶しても、また目ぇ覚ました時にゃ、俺たちが待ってんだよ!」


クワヤマダくん:「そうそう!気絶したらまた目を覚まして、新しい広がりを見りゃいいんだ。俺たちだって、広がる宇宙の一部なんだからな!」


野田さん:「お前たち、ありがとよ…。なんだか、宇宙の果てしなさが、少しだけ希望に思えてきたよ。」


ダイラ:「そりゃそうだ!あっしらは膨張する泡よ!一緒にぶくぶくやってこうじゃねえか!」


クワヤマダくん:「ええ、泡もいいけど、俺たちは膨張して生きていく、無限の広がりってやつだな!」


ダイラ:「だから、あんまり膨張しすぎてまた気絶すんなよ、野田の兄ぃ!」

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