第304話 燃え尽き症候群

ダイラ:君は何で、あの大学時代の謎のオブジェを金色にしちゃったの?


作者:いや~その~お恥ずかしい話なんですが、今までとは違う部署に変わり、それが中々慣れず、心身共にキツくてかなり追い込まれていました。やってもやってもゴールが見えにくく、いわゆる燃え尽き症候群になってしまいまして…。


ダイラ:それは大変でしたね。でもそれと、金色に塗ったことはどう関係しているの?


作者:僕は作家でもアーティストでも何でもありません。大学を出てフツーのサラリーマンをずっとやってきました。昔、たまたま美大に入れたことで、調子に乗っていた時期があったのですが、才能の欠片もないことに気づいちゃったり、身内のことでショックなことがあったりした大学2年、1998年にパニック障害を発症しました。


ダイラ:君、嘘こいてもダメだよ。あの当時の君を覚えているけど、そんな様子は見られなかったと思うんだけど。年中、軽口を叩いていたよね。


作者:そういう時もありましたが、大分、落ち込んでいましたし、いても立っていられない焦燥感で日々困惑し、どーんと落ち込んだ日もあったんです。そのとき、パッと目の前に金色の物体が舞い降りてきたんです。


ダイラ:それがあの野外展に出品したオブジェ?


作者:あの当時、金色ではなく、山吹色を塗ってしまいました。


ダイラ:なぜ?金にしなかった?経済的なもの?


作者:自分の心の声に素直になりきれていなかったのでしょうか。お金も無かったですが…。


ダイラ:なるほどね。それにしても、あの時の幻影を追っているなんて、面白いね。


作者:今回の燃え尽き方は半端なく、何もする気が起きない日々を過ごしました。何もする気がないのに、サラリーマンを続けるの辛いものがありましたが…。


ダイラ:そこで、落ち込んで底を見たときに、再び、何かが降りてきたんだね。


作者:今回はズドンと目の前に金色のオブジェが落ちてきました。


ダイラ:早く気付け!って感じで落ちてきたようだね。


作者:僕はスピリチュアルな感性や霊感は皆無なんですが、嫌なことや気分が落ち込んだ時にそういうものが見えるんです。


ダイラ:燃え尽きて「無」になったときに、本当にやりたいことが表れる。


作者:煩悩まみれのサラリーマンですから、燃え尽きでもしない限り、自分の中にある純粋性にアプロ―チできないようです。


ダイラ:確かに、燃え尽きたときに本当の自分が見えてくるんですね。


作者:そうなんです。そして、その金色のオブジェが目の前に現れた時、なんとなくその光に引き寄せられたんです。自分でもよくわからない感覚でしたが、なんとなく手を伸ばしてそのオブジェを触ってみたくなったんです。


ダイラ:そこで金色に塗り替える決断をしたんですね。


作者:そうなんです。あの光を感じた時、なんとなく心が落ち着いたんです。自分の内面にある迷いや不安が少し和らいだような気がしたんです。


ダイラ:燃え尽き症候群の後、本当にやりたいことに向き合うことができたんですね。


作者:そして、その金色のオブジェが私に示したのは、ただ自分を信じること。自分の心の声に耳を傾け、自分の直感に従うことの大切さだったんです。


ダイラ:なるほど。自分を信じることが、本当の幸せや充実感につながるんですね。


作者:その金色のオブジェは私にとって、その思い出や教訓を象徴する存在となりました。


クワヤマダくん:なんかいい話っぽく聞こえるけど、作者は気晴らしに金にしたっていうのが、オレの見立てだ。作者にとって、色には何の意味もないはずだ。


作者:ドキ!バレた!その通りでございます!







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