第283話 劇的にポツンと2023年ってところで
ダイラ:あれから10年かぁ。早かったなぁ。
ビダイくん:ところで、あの年はコロナパンデミックの終息と共に、生成AIパンデミックとなりましたよね。
ダイラ:オレも、何だかんだ言って、AIパンデミック後は、特殊照明作家から宇宙特殊照明作家に変わったもん。
ビダイくん:水木しげるの幻の紙芝居「ダイラ物語」が発見され、予言書として大流行しましたもんね。そこに特殊照明作家を名乗るダイラを火星に連れて行くというエピソードが書かれていて、ダイラさんに白羽の矢が立ち、火星に連れていかれましたね。
ダイラ:晴天の霹靂とはよく言ったものだよ。火星まで本当に遠かったよ!
ビダイくん:人生観や哲学が変わったと、記者会見でおっしゃっていましたよね。
ダイラ:火星に到着してから、生死の境を何度も経験した。だって、誰もいないはずの火星にはもうすでに人間がいたのだから。特殊照明振り回していたら、何回か殺されかけた。
ビダイくん:地球上でも、「ポツンと一軒家」みたく、まさかこんなところに人が住んでるの?人間ってどこでも住めるやばい生き物だなんて考えていましたが、人類の歴史の中で、すでに火星に行っていた人類がいたのですから驚きでした。
ダイラ:まぁ、人間の適当さと優秀さを同時に感じたってことかな。人間は歴史を正確に残す力が弱いんだ。集団忘却力が半端ない。火星に居た奴らは、5億年前からいたみたいだよ。そんな大昔に火星にもバンバン人が移住していたらしいんだけど、地球に彗星がぶつかり、当時の人類はほぼ全滅したらしい。わずかに残った人類は、科学技術を継承できず、原始人からやり直したみたい。笑えるよね。
ビダイくん:その話は今の人間の歴史教科書が全て書き換わるくらいのインパクトがありましたね。地球に帰るときは、火星の人々が作った高性能な船で三日で地球に着いたのだから凄い。
ダイラ:そう考えると、2023年のAIパンデミックは人間の忘却力をサポートするためにも意味のあった年だったよ。人類の思考回路が「劇的ビフォーアフター」したもんね。
ビダイくん:確かに、面倒な事務仕事から手が離れ、AIの連中が何から何まで開発してくれたおかげで、元々能力のあった人間が、自由に空想する時間を得るようになった。ボーとする時間って本当に重要です。
ダイラ:AIどもがはじき出した結果に準じて素直に行動している内に、火星にいた連中と出会い、地球も以前より住みやすくなったもんね。
ビダイくん:2023年以降は、核戦争が勃発して、地下生活となりましたが、地下には地下のよさがありましたよね。まぁ、地下にも人類がいたのですが…。
ダイラ:そうなんだよね。地下の奴らがまた優秀で気のいい奴らでよかった。地上生活にこだわっていた今までの人類ってなんだったのって感じだよな。
ビダイくん:この10年で見方考え方がぐるりと変わりましたね。2023年はそのターニングポイントだったといえるでしょうね。
ダイラ:だねー。
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