第266話 あなたにとっての「大きな岩」とは?
忍(学生):ダイラさん、この一ヶ月は黒部の大自然に心奪われました。個展もなんとか作品を展示でき、毎晩満天の星空を眺めながら満足しています。
ダイラ:黒部コナーレ水辺の展示は相変わらずアナーキーでアバンギャルドなんだね。君らしくていいわ。宙吊りの巨大な鼻からロケット花火が勢いよく噴射され、目玉がミラーボールに変わるセレモニーは、地元の人々も驚いたことでしょう。
忍(学生):あれは黒部コナーレの地域開発担当者が提案してきたもので、実は私はホタルイカを噴射させたかったんです!
ダイラ:それならロケット花火のほうがよかったかもしれませんね。
忍(学生):でも、その水辺には本当に蚊がたくさんいて。毎晩軽トラックの荷台で寝ていましたが、朝起きるとひどいことになっていたんです。作品の鼻から大量の蚊が噴射されていたかもです。
ダイラ:まぁ、でもそれも今の学生時代しかできない経験かもしれませんね。
忍(学生):学生の特権ってやつですか?
ダイラ:君、大きな壺の話を聞いたことあるかい?岩と砂利と砂と水を全て壺に入れる順番を考える話だよ。
忍(学生):それは聞いたことがないですが、どんな話ですか?
ダイラ:試しに考えてみて。どうやったら全ての物が壺に入るか。
忍(学生):えーと、砂と水を先に入れて混ぜて、それから砂利と岩を入れるとか?
ダイラ:その瞬間、岩を入れるスペースが足りなくなると思わない?
忍(学生):あ、確かに。じゃあ、逆に岩を先に入れて、その後に砂利と砂、最後に水を入れるといいかも。
ダイラ:そうすると、岩の隙間に他の物が入るね。この話の意味は何だと思う?
忍(学生):事前に大きなことを優先すべきだということでしょうか?
ダイラ:その通り!自分の人生で大事なこと、やりたいことはまさに大きな岩。それを先にしっかりと優先しないと、後からはなかなか収めることができなくなるってことだよ。
忍(学生):なるほど、今のうちに大切なことをやっておかないといけないってことですね。この展示もそれに当てはまりますね、ホタルイカを買いに行ってきます!今しかできないことをやり遂げたいです!
ダイラ:そうじゃなくて...まあ、いいや。頑張ってね!僕は優先するべき人生のためにこれで帰ります~。
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