第230話 新しい暗黒のリーダーズ

「クワヤマダくん、♪って最近バズっているよね。」


「新しい学校のリーダーズ、オトナブルーですよね。踊りが独特です。」


「あの踊りさ~どこかで見たことがあるんだよね。懐かしいような、胸がゾワゾワするんだよ。」


「あれは、彼女たちが考えた振付らしいですが、ダイラさんが言いたいのは暗黒舞踏じゃなですか?」


「あぁ。山海塾だわ。そうなんだよ。あの手首や腰の曲げ方、ステップは土方巽、大野一雄由来だわ。ムサビの男神輿が終わった後、ベロンベロンに酔った白塗りのモヒカン学生が真似する奴だね。」


「若い女子と暗黒舞踏が謎のコラボをしているなんて、舞踏家さんたちはどう感じているのでしょうかね。」


「やっぱり白塗りでやってほしいと思っているんじゃないかなぁ。」


「俺たち勝手に、新しい学校のリーダーズが暗黒舞踏をオマージュしているテイで話しているけど、彼女たちは暗黒舞踏を知らない可能性だってありますから。」


「そうなんだよね。情報が溢れすぎているこの時代、何由来かが不明だけどバズっているものが結構ある。特に若い子たちはの吸収力は半端ないから、時代とか関係なくガンガン取り込むよね。時代を切り裂く瞬発力はZ世代には敵わない。」


「Z世代ばかりではないですよ。最近ティックトックで天文物理学者BossBさんという元ガングロギャルみたいな人がバズっています。小難しい天文宙物理学をパリピ―のノリでバシバシ解説しちゃっています。最後はピースで締めています。」


「あぁ見たよ。ピースは最近はダサくてやる奴減ったけど、BossBさんのピースは一周回ってイケているかもしれない。でもあれは強烈だわ。天文物理学と一般ピープルの距離をぎゅっと縮めたね。やっぱり、マス(大衆)にアジャストする人から知識は広がる。天文学者を目指すパイが増えそうだ。」


「あの人は大学の准教授らしいので更に驚きですわ。」


「多様性の時代なんだから、権威のある世界から変わり種をどんどん排出してほしいよ。web4.0も時間の問題だね。量子コンピューターの時代がくれば、見た目や言動が少々変わっていてもそれを凌駕する奴が生まれそうだ。」


「人間の脳は拡張されていますね。目新しく見えるものが秒単位でこの世に現れてくる奇妙な時代になっています。」


「もしかしたら実は暗黒の時代に突入しているのかもしれない。人間の脳細胞の結合に限界が来ていて、妄想や夢がランダムに繋ぎ合わされている状態からショートしちゃっているのかも。」


「確かに世界は異常な暴走をしているとも言える。世界中で戦争が増えていることを考えると、奇妙な連結や繋がりは創造から破壊へと表裏一体の現象なのかもしれない。」


「線香花火が落ちる寸前にワサワサと燃え上がる瞬間の現象だったりして。」




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