第227話 不確実性とモチベーション

「ダイラさん、昨日の話で不確実性のゆらぎとモチベーションって出てきたけど、それってどういうこと?」


「不確実性のゆらぎっていうのは、物事が確定していない状態で、その不確実性が時に変化することを指すんだ。例えば、宇宙人の存在が未確定なのは、その存在が確定していないからだよね。」


「でも、その不確実性ってどうやって扱えばいいのですか?」


「それが芸術っていうものの一つだと思うんだ。芸術は未知な部分や、不確実なものを表現することができるからね。例えば、SF映画には未知の存在や宇宙人が登場することが多いでしょ?あの不確実なゆらぎが人々の興味を持続させるモチベーションになるんだ。夜空にUFOがちらつく度にモチベーションがぐっと上がる心理だ。」


「そうですね。でも、本当に宇宙人っているのかな?未知との遭遇っていうのは、まだ起こっていないものだし、想像するだけで終わるかもしれないですよね。」


「考えてみれば地球外生命体が存在する可能性はあると思うんだ。フェルミ推定っていうのを知ってる?」


「フェルミ推定?」


「有名な天文学者のフェルミが「宇宙には地球外生命体が存在するはずだけど、どこにいるんだろう?」っていう問いかけをしたんだ。そこで、宇宙には無数の恒星や惑星があるから、地球と同じような条件を持つ惑星もたくさんあるはずだと考えた。そこで、地球外生命体が存在する確率をちょっとした計算で推定したんだ。膨大な数の宇宙人がいることが概算で出た。」


「想像を超えた数字を概算で出すってことなんですね。それってすごいな。でも、それが本当に正しいかどうかはまだわからない。ひょっとして地球上に現代アーティストが何人いるかみたいな計算もできます?」


「現代アーティストの割合:0.1%、創作活動を行う期間:10年、1人あたりの制作作品数:100作品、世界中の人口あたりの平均寿命:70歳、この仮定に基づいて現代アーティストの総数は大体見積もれるんだ。80億人 × 0.1% = 80万人、80万人 ÷ 10年 = 8万人/年、8万人 ÷ 70歳 = 約1,140人/年、つまり、世界中には現代アーティストが約80万人いると推定され、1年間には約1,140人の現代アーティストが新たに現れるという概算だけど、正確かどうかは分からない。」


「その数が何を意味しているのか今一分からないですが・・。しかし、それが未知との遭遇について考えるきっかけになるかもしれない。」


「そんなことよりも今日食べるラーメンが気になってきた。じゃあ、ラーメン屋に行こうか?何を頼もうかな。」


「えー、そんなモチベーションないですよー。未知との遭遇とかあり得るんですよね。」


「それが不確実性のゆらぎってやつだよ。でも不確実性の中にも芸術があるんだよね。」


「そうそう、宇宙人って存在自体が芸術的です。想像してみると、色んな形の宇宙人がいるんだろうなぁ。」


「実は僕、宇宙人に遭遇したことあるんだ。」


「えっ、マジで?!」


「でもそれはラーメン屋での話なんだけどね。」


「ラーメン屋で宇宙人に遭遇って、どういうこと!?」


「そこのラーメンが異次元の味で、まさに未知との遭遇だったんだよ。」


「異次元っていうとゆらぎが生まれて、人々が食いつくのは、岸田総理が実証済みです。あれも不確実性を政治的に利用した例ですね。」


「ははは、それはフェルミ推定で言うところの、数学的確率よりも低い確率の出来事かもね。」


「異次元を使った時点でうさん臭さが倍増したけど妙に興味を惹きつけられた。異次元の味を出すあのラーメン屋は、もう一度食べたくてモチベーションが上がるんだよね。」


「そんなところに、不確実性とモチベーションのゆらぎがあったとは!」


「手が届きそうで届かないところに人々は魅力を感じてしまうのね。」

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