第226話 第22話シン小平のメーテル(番外編)

「なぁメーテル、最近の中学生は将来のことを考えないんだよね」と、鉄郎が悲しげな声を上げた。


 メーテルは、鉄郎に対して優しく笑って答えた。「でも、あの子はダイラくんだから、何かに夢中になったら突き進むタイプだよ。」


 鉄郎はうなずいた。「そうか、そうだったな。でも、中学生だし、将来を見据えて学校の勉強もしっかりしてほしいものだよ。」


「メーテル、君はちょっと飲みすぎなんじゃないの?ダイラくんは君を見て驚いていたじゃないか。」


「まぁ、そうかしら。」

 思ったらすぐに行動に移すのが中学生ダイラの性分、学校をさぼって、電車で美大まで行くことにした。早朝、自宅の最寄りの駅から満員電車に乗り込み、美大に一番近い新小平駅まで乗り継いだ。そして、駅に着いた時、そこには黒服を着た金髪で美しい女性が倒れていた。


「メーテルか!」ダイラは思わず叫んでしまった。


 駅員が駆け寄り、「この人は大丈夫だから、君は学校へ行きなさい。」と言ったが、ダイラは腰を落ち着けられずに駅の周辺を歩き回った。


「何をしているのかね?」と尋ねられたダイラは、思わず「酩酊したメーテルがいたのです!」と興奮気味。目の前に立つ人は、どこかで見たような人物だった。


「ダイラくんは、あの人が松本零士先生だったことは多分気付いていなかったと思うよ。」


「そうね、メーテルはそのうち君の前に再び現れるさと言い、その場から零士先生が消えたときのダイラくんのキョトンとした表情はよかったわね。」


 ダイラは幼い頃からSF映画や漫画に夢中だった。特に松本零士先生の作品には心酔しており、彼の影響を受けた彫刻作品をつくることを夢見ていた。

 彼の作品は、銀河を舞台にした宇宙オペラのようなものだった。彼は銀河系を舞台に、圧倒的なスケール感と情緒的なストーリー展開を表現していた。


 そして、ダイラは宇宙空間を舞台にしたドームのないプラネタリウムをつくり上げた。作品は、まるで宇宙オペラの中の1シーンを切り取ったような壮大な作品であり、観る者を異次元の世界に誘い込んでくれた。

 ダイラの作品は、多くの人々から絶賛され、その後の彼の芸術活動の原動力となった。彼は、自分が描く世界の中で、松本零士先生から受け継いだ影響を大切にしながら、さらに自分ならではの世界観を表現していくことを誓ったのだ。


「あのさ、メーテル。ダイラくんの作品ってなんだか松本零士先生の作品みたいだよね。」


「そうかしら。でもダイラくんは松本零士先生の作品に影響を受けたって言ってたから、当然かもしれないわね。」


「でもそれだけじゃなくて、なんかハートが似てるような気がするんだよな。」


「本当に?私は少し違うように感じる。零士先生というより私に見せたい世界を表現しているように感じるわ。あの子、私に夢中だったから。でも、確かにダイラくんの作品を見てると、松本零士先生のことを思い出すわね。」


「そうだよな。あの人は本当にすごかったよな。」


「はい、松本零士先生は数多くの名作を残した偉大な漫画家でした。彼の作品は今でも多くの人々に愛され続けているわ。」


「そうだよな。でも、やっぱり寂しいよな。松本零士先生がもう二度と新しい作品を描けないって思うと。」


「そうね。でも、彼が残した作品は、私たちにたくさんの感動と勇気を与えてくれたわ。私たちはそれを大切にしていかなければいけないわね。」




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