第222話 元暴走族と美大生

「ダイラさん、休日の真昼間、最近では珍しい暴走族が暴走行為をしていましたよ。」


「クワヤマダくん、あの人たちは暴走族ではなく、旧車會きゅうしゃかいの方々だよ。まぁ、元暴走族なんだけどね。」


「何がどう違うのか僕は分かりません。そう言えばヘルメットを被っていたようないないような・・。」


「暴走族に適用される罰則は、共同危険行為、騒音運転、消音器不備車両の運転、無免許運転、整備不良車両運転などの違反、自動車登録番号標等表示義務違反、悪質な違反で検挙された少年は、家庭裁判所の審判に付され、保護観察処分や少年院送致等の処分に付されることがあるんだよね。」


「ダイラさん詳しいですね。ドームのないプラネタリウムの反り上がりが改造車と重なりました。なるほど、旧車會の方々は見た目は暴走族だけど、交通規則や法律は守ってらっしゃるのですね。」


「改造車に跨り爆音で蛇行運転することを夢見ていた若かりし頃に胸を弾ませて、車検に通る改造車で、昼間に安全蛇行しながら活力を漲らせているんだよ。旧車会の方々は、暴走族とは全く違うみたいなものと言っているよ。市民や警察と仲良くすることがモットーだって。」


「でも一般市民からすると、安全運転であろうが、改造車集団に出くわしたらちょっとビビりますよ。」


「旧車会が想像以上に盛り上がりを見せていて、日本全国で増えているんだよね。中には当時の記憶がフィードバックしてしまい、違反行為をする方もいるだろう。そういう自己抑制ができないメンバーはすぐに脱退していただいた方がよさそうだ。」


「反社会的な行為は一切しません!とプレートをつけて走ってくれると分かりやすいんだけどなぁ。」


「海外でも、BOSOZOKUとして、改造車を見せ合うのが流行っているみたいだ。日本が生み出したサブカルはやはり独特でガラパゴスなのかな。ジャパン・ギャルとかも流行っているみたい。日本人は細部をカスタマイズするのが性格的に好きだからね。そこがウケたのかな。」


「尚更、旧車會は襟を正すべきですよね。バイク人口も激減している中、安全にゆるく爽やかに楽しみましょうという文化を日本の若者に伝えることができたら、経済界にブレイクスルーを生み出す可能性もある。」


「負の遺産と思われていた暴走族が、日本文化・経済の一助になる?」


「それは、妄想を暴走させ過ぎですよ。日本のサブカルを海外に輸出するという視点で考えると、美大生ビダイセイもありかも。」


「ある意味、昔は暴走族よりが悪いイメージをもたれていたからね。」


「私美大に行く!なんて言われた親は、暴走行為をしてる子どもをもった親と似たような心境になったかもしれない。」


「暴走族は18歳で引退だけど、美大生は中年まで引きずっているケースもあるから。このダイラ物語作者は40過ぎてビダイ物語を書く始末。桃源郷のような美大生活から抜けきれないのも、ある意味独特な文化だ。アーティストになるより美大生でいることが目的化されている奇妙な現象が起きている。」


「何も生み出さないし作らないけど、美大生でいる期間を価値にしてサブカルとして輸出する。」


「何だかよく分からない存在だけど、妙な夢を語り、ガラパゴス的な美意識をもち、反社会的な思想で妄想を暴走させる。アナーキーでモラトリアムなビダイセイは、もしかした日本発のサブカルになるかもしれませんね。」


「この作者は定年退職したらもう一度美大を受験して、美大生になることが夢らしい。」






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