第220話 死は存在しない?I am the earth
「ダイラさん、この宇宙のすべての情報を記憶するゼロ何とかという、最先端量子科学の仮説知ってます?」
「量子真空の中にあると言われている、ゼロ・ポイント・フィールド仮説でしょ。」
「そうです!量子真空の中のゆらぎでミニ宇宙が生まれ、それが膨張してビックバンが起こり今の宇宙がつくられたんですよね。絶大なエネルギーを宿した真空です。」
「その量子真空が身の周りにも普遍的に存在している。その真空の中に波動として宇宙全ての情報が蓄積されている話でしょ。」
「宇宙空間にある全ての情報ってことは僕たちの情報も含まれているんでしょうか。」
「もちろんだよ。ホログラム原理で、過去現在だけでなく、これから起きる未来のことも波紋のように蓄積されているようなんだ。」
「ぎょぎょ!たまに、危険を予感したり、デジャブや未来を予知したり、気になることがあるとそれにまつわる情報をゲットできたりするのって、ゼロポイントなんちゃらのお陰なんですか?」
「そうみたい。以心伝心ってあるじゃん。クワヤマダくんに仕事を頼みたいなぁと考えているときに、偶然にも遊びに来てくれたりするみたいな。どうやらポジティブな気持ちでいると、ゼロポイントフィールに繋がりやすくなり、求めている情報や物事が集まりやすくなるんだって。しかし自我やエゴが強すぎるとアクセスできなくなるみたい。」
「リラックスして純粋な気持ちでいることが重要なようですね。」
「マユツバみたいな話だけど、最先端量子科学で研究され始めた理論らしい。SF映画の空想ではないみたいだよ。」
「そもそも、この宇宙の成り立ちから私達人間の存在まで、何も分かっていないようなものですからね。そのゼロなんちゃら仮説も立証のしようがない。」
「この仮説を説いている人が言うには、死も存在しないらしんだ。」
「全く意味不明な話に飛躍しますか?」
「要は肉体を失っても、生きていた情報はゼロポイントフィールド内に波動としてホログラム原理で蓄積されるんだ。記録されるというより記憶され、色んな情報と組み合わさり変化・成長していくんだって。」
「たまに先祖っぽい人からささやきがあります。」
「それは、ゼロポイントフィールドに記憶された情報が何かのきっかけで引き出されている状態らしい。」
「確かに、ポジティブな念が強い人は願いや夢がどんどん叶っている気がする。」
「そういう人は無意識にゼロポイントフィールドにアクセスして、有益な情報をゲットしているんだね。世界の大富豪や天才科学者やアーティストはアイデアが降ってくると言う。凄いアイデアは考え抜くより、神から与えられると表現する人がほとんどだ。ゼロポイントフィールドにアクセスしやすい人、引き寄せやしい人は存在するんだね。」
「引き寄せる力欲しいなぁ。」
「そして死後は自我が消えて、宇宙全体の情報の一部になるらしい。幽体離脱は自我が残っている状態で、しばらくすると自我が消えて、地球上のあらゆる生き物と同じ情報レベルになる。」
「ガイア理論ですね。地球は一つの生命体。僕たちはいずれ、地球から生まれた意識に戻るってことなんですね。」
「複雑系のものには意識が宿ると言われている。地球も複雑系だからね。」
「結局、人として生きている間は自我の殻に閉じこもって生きるしかない。死後はその殻を破って宇宙の情報になる。地球や宇宙が進化するために今、人として生かされているのかもしれません。」
「自分にこだわっている自分でいられる時間は、宇宙空間からしたら一瞬でしかないのだろうね。僕たちは人間として産まれる前から、波動として宇宙に存在していたのは間違いなさそうだ。そう考えると、自我に拘束された人間時代は苦しさも多いけど、充分堪能する価値はありそうだね。」
「自我を愛する人生を肯定するのは、今の人間らしい行いです。」
「地球意識、宇宙意識が成長した暁には、また違う意識を持った生き物が生み出されるかもしれないね。」
「うーん。人間の能力では想像しきれない世界観だ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます