第216話 YMOけだるいゲーム
「この世界のモノはYMOであるか、YMOでないか、どちらかである。」
「自分はYMOを識別できる。」
「YMOという言葉は、すべてのYMOをよぶことができる。すべてのYMOでないものは、よぶことができない。」
「私がYMOに言えることはこれが全てかな。」
「またぁ~。難しいこというね。どう意味?」
「この世界にどれだけのYMOがあるのか知ってる?」
「YMOってモノなの?」
「YMOがモノでないことをあなたは証明できるかしら。」
「証明はできないけど、YMOって音楽でしょ。」
「音楽であることは証明できる?」
「例の3人が作る音?曲?」
「細野さん、高橋さん、坂本さんを並べたからといってそれはYMOなの?」
「一人一人はYMOじゃないけど、3人が奏でる音楽がYMOなんじゃないのかなぁ。」
「どこからどこまでがYMOでYMOでない?」
「それは分からないけど、曲を聴いただけでYMOか否かは分かる自信がある。」
「YMOもどきもたくさんあるけど、違いはなぜか分かる。」
「高橋さんのソロ曲を聴いても、YMOのようだけど、YMOじゃなくて高橋さんの曲であることが分かるわ。」
「僕が幼稚園時代、発表会でポップコーンが弾けるコーン役をやったんだ。YMOのライディーンが始まったら、段ボールで作ったフライパンから飛び出すように先生に言われ練習した。イントロで馬が走る電子音『ツッツク、ツッツク』が鳴るんだけど、その音を先生がイタズラで何かを叩いて鳴らしたんだけど、誰もその音に騙されて飛び出す奴はいなかった。」
「『ハイスクールララバイ』のイントロは音が軽く、『ライディーン』は音が重めという違いは分かる。」
「幼稚園の子どもでも、YMOと偽YMOの区別がついていたんだね。」
「でも、YMO以外の音楽ではそうはいかなかった。」
「YMOだけが、YMOたらしめるモノとして認知されていたということ?」
「草刈正雄の顔真似をしていた高橋さんが時々ボソボソ歌うじゃん。あれもYMOたらしめる要素だったのかもしれない。」
「音楽の授業であなんな調子で歌ったら、怒られそうだよね。」
「YMOの3人のけだるさいいよなぁ。特に高橋さん。」
「ムサビ短大の生活デザイン科を中退しちゃうような、けだるさ、かっこいいよね。」
「YMOを証明することはできないけど、YMOの本質を元美大中退生高橋さんが、なぜか世界中の人々に理解させちゃった。けだるい功績は偉大だ。」
「熱を隠しけだるく見せていた、高橋さんのミステリアスなコーディネートセンスに人々はハックされたんだね。」
「溶けない魔法をしかけられちゃったんだ。」
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