第210話 セカイハオワラナイ
「クワヤマダくん、今年の日本レコード大賞誰が獲ったの?」
「セカオワのRabbitです。ダイラさん、僕まだ熱があるかもです。」
「最近まで熱でぶっ倒れていたんでしょ。大丈夫だった?Habitだよね。」
「ダイラ物語209話のラビットの話を読んでいたら体調が悪化したもので・・。MISIAの赤うさぎもうなされそうです。」
「Habitかぁ。あの歌、ちょっと歌いにくいんだよなぁ。」
「僕もあのテンポは、ついていけません。抑揚がないっていうか、しゃべっているみたいです。ダンスはモンキーダンスみたいでかわいいですけど。」
「詩も独特だね。『所詮アンタはギフテッド アタシは普通の主婦ですと それは良いでしょ? 素晴らしいでしょう? 不可能の証明の完成じゃない?』はドキッとする。」
「自分は凡人であり、ギフテッドとして産まれ備わったあなたは別世界の人みたいな。『君たちったら何でもかんでも分類、区別、ジャンル分けしたがる・・持っているヤツとモテないヤツとか、隠キャ陽キャ』人間の癖や習慣(habit)をぶちやぶれよみたいなこと言っちゃう歌詞ですよね。」
「ちょっと岡本太郎っぽい。」
「人間はそもそも、相対化して物事を見る天才です。生まれた瞬間から、目の前の母親は自分にとって安全か否か区別しているし、ちょっとした道徳心も備わっているらしいですからね。」
「マイケルサンデル教授が、実力も運のうちという本を出した辺りから、世界中の裕福で才能のある人々への見方が厳しくなっている。」
「それは、あなただけの成果ではなく、実力を身に付けられた才能と環境のお陰なのだからという理論ですよね。富を独り占めしている者よ、分け与えなさいという説教でしょうか。」
「それを言っている人たちがス―パーエリートや有名人っていうのも面白い。本当に困っている人々は何も言えない構造になっている。」
「SDGsやLGBTQは世界中が取り組んでいるみたいなこと、メディアでもよく言っているけど、クソ真面目にやろうとしているのは日本だけらしいと聞いたことがある。」
「確かに、ヨーロッパやアメリカに行くと、男性はゴリゴリのマッチョ、女性はパツッパツのボディコンの特徴はより鮮明になっている。韓国の美容整形や男性マッチョ率の高さも、区別がエグイ世界を見据えてのプロモーションのようだし。SDGsだって特定の大企業がコソッとやっているだけのような印象だね。」
「そう考えると、日本はいいよね。学生服はユニバーサルデザイン、中性的な服装をした人が増えているし、環境への配慮は抜群だと思う。」
「ちょっと控えめで、中性的な外国人は日本に来たがっているみたいですね。」
「『俺たちはもっと曖昧で、複雑で不明瞭なナニカ、悟ったふりして驕るなよ、君に君を分類する能力なんてない』西洋や欧州から取り入れた型から脱却しようとしている今の日本を後押ししている曲に聞こえてきた。だからヒットしたのかな。」
「日本人は分類しているようで、自分が住めるニッチな場所を探しているとも言える。そういう強かさや細かい感性は、多様性やダイバーシティには必要なものだよね。」
「セカオワのhabitは世界が終わらないための布石になるかもしれない。」
「それは理想的ですが、日本ミュージックのマーケティングは日本人にしか狙っていないですからね。紅白歌合戦でわちゃわちゃやれば、1年間1億数千万人の国内で儲けられる。」
「海外を意識し過ぎると、ザ・ラスト・ロックスターズみたいになっちゃうしね。あれはあれでかっこいいけど、メッセージ性に欠ける。バリバリの西洋コンプレックスの人たちって思われて日本っぽさがないかも。」
「ダイラ物語第37話YOSHIKIの色白で確認しましたが、ダイラさんはYOSHIKIと同い年なんですよね。」
「そうだよ。オレの方が実は色白なんだけど~。」
「昭和40年生まれのアーティストはやばいっていうオチになっちゃうんですよね。いつも・・。」
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