第205話 Z世代からα世代へ

「せんぱ~い。もうZ世代の思考回路が分かりません!」


「オレはクワヤマダくんの考えていることがよく分からないけどね。」


「Z世代は職場で慎重に扱わないとすぐに辞めちゃうからと、社長がしつこく言うから僕はかなり気を使っていたのです。」


「あぁ。褒め殺しちゃったのね。」


「とにかく褒めまくりましたよ。ラインも絵文字多目ですぐに返信しましたし、それがダメだったのでしょうか?」


「Z世代は2000年台の生まれだよ。幼少期から何でも揃っていたし、少子化の影響もあり周囲から過剰に褒められて当たり前。正月なんか、親戚中から高額なお年玉を貰い王様気分だ。デジタルネイチャーとして、デジタルを扱えない大人を鼻で笑いながら育ったんだから。オレやクワヤマダくんとは育った環境が違うってもんだよ。」


「せんぱ~い。毒舌が過ぎますよ。」


「Mー1グランプリのウエスタンランドに影響されちゃったかな。まぁ、とにかく、がっついてモノをつくったり、働く理由もないから、本当に面白いとか興味があることが無いと辞めちゃうんだよ。基本的には家で好きなことやっている方が人生の得だって考えだからね。」


「W杯のみたいに祖国アルゼンチンのために37歳になっても肉体を酷使する人間もいるかと思えば、自分のためだけにしか生きない若者が増えている現状は何とも言えない気分です。」


「クワヤマダくん、謎の黒いメッシュを着てワールドカップを掲げたのはメッシだよ。」


「僕は黒メッシュ嫌いじゃないっす。不評だったみたいですけど・・。」


「Z世代と言えば、アニソンの帝王、マジンガーZの水木さんが逝ってしまった。」


「フェアレディZに乗りながらよく聴いていました。兄貴悲しいっす!」


「クワヤマダくんがそう来るならオレはドライブ中はB'zを聴いていたよ。」


「こういうノリはZ世代が嫌うんですよ。世代で括る感覚が昭和っぽくてイラつくらしいです。ゼットンの声真似(ピポポポポポポ)なんかしたら、奇人扱いです。」


「世代で分けるのは、マーケティングの連中が考えたものだからね。括ることで、ユーザーの購買傾向や情報を整理したり、購買意欲を刺激するのが狙いだから。本当はどうでもいい括りだ。」


「ところで、Z世代の次は何世代になるのですか?」


α(アルフ)。α世代の親の多くはミレニアル世代(現在25歳~40歳代)。この世代は「サステナビリティ」「地球温暖化」「男女機会平等」といった社会課題への関心が高く、子どもたち(α世代)に買い与える物を選ぶ際には、これらの社会課題の解決に役立つものを選ぶ傾向があるらしいよ。」


「Z世代よりデジタルネイティブで、Withコロナで育ったα世代は、もっと手強いかもしれない。」


「ここ10年で、世の中は評価経済に様変わりした。お金を稼ぐだけじゃなくて、SNSで評価を得ることがステイタスになっている人が増えた。インフルエンサーに注目が集まり、フォロー数でその人の信用度が決まる。環境保善やオーガニックを愛する人たちの存在感も増している。日々、映えを気にする親を見ながら育った子どもたちは、どんな大人になるのでしょうか。」


「これからの10年で、AI評価経済が当たり前になる予感がする。人の評価だけではなく、AIにどれだけ評価されているかということで人生の価値が決まる時代。」


「AI、人、お金の3つの基準を気にするα世代ってとこでしょうか。もうついていけない!」


「今のうちにAIと仲良くなっておいた方がよさそうだね。」






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る