第203話 dearMoon(みうらじゅん式)
「ダイラさん!億万長者前澤さんにより構想・出資される月旅行ミッション兼アートプロジェクトdearMoonに選ばれませんでした。」
「え!クワヤマダくんも応募していたの?実はオレも応募してみたけどダメだった。」
「悔しいっす。月に行ってみたかったです。でも応募数100万人ですから、スキー場のレストランで不味いカレーに当たるくらい難しい確率。」
「カレーはハズレが無いしスキー場で食うカレーは格別だね。そんな例えでいいの?せめて月見うどん・・。」
「でも、ダイラさん、今回選ばれた人たちは、月旅行後のアーティスト活動に大きなプレッシャーがかかりますよね。」
「前澤さんが旅行費1000億円をもつらしい。月から帰ってきてからが大変そうだ。8人のアーティストたちの芸術観がどう変化するのか楽しみではあるけど。地球上では見たことのないアートを期待しちゃうかな。」
「大金をかけて稀な経験値を積んだアーティストはトンデモナイ表現を生み出せるはずという世間のバイアスで苦しむかもしれませんね。」
「まぁ、そうは言っても人間だから、月から帰ってきて月見バーガーを食べてもよしとしようじゃないか。案外それはそれで真実味があるかもしれないから。」
「行く前と行動様式は変わらなかったというのも実験結果の一つですしね。」
「多くの宇宙飛行士が宗教的な概念を宇宙から感じたと言って、帰還後環境問題について言及したり活動家になったりする。けど、野口さんは3回も行ったけど、そんなこと何も感じなかったと言っていた。人間は宇宙に憧れを抱いているうちは何も気付けないかもね。野口さんみたいに『別に』くらい宇宙がフツーなものになって、地球を知らない人類が生まれ育ってから新しい価値観や文化、表現が生まれるのかもしれない。」
「そういえばダイラさん、あの8人の中にみうらじゅん氏がいたの気付きました?」
「あぁ。みうらさんは凄い人だよ。エロスクラップを1000冊作り上げたところで、前澤さんから一本釣りされたみたいだよ。」
「月旅行後にみうらさんは何を作るのでしょうか。エロスクラップ1000冊の偉業により文科省から芸術文化勲章を授けられていましたよね。今、国立新美術館でエロスクラップが展示されているらしいです。老若男女問わず賑わっているみたいです。」
「質より量でエロというバイアス剥がしに成功したね。あの人は宇宙に行かなくても宇宙人だわ。」
「また、スペースX内でしょうもないない仕事を生み出して、創作に励むんでしょうね・・。」
「基本的にみうらさんは模写命の人だから、
「気負った若きアーティストの肩の力が抜け、いい効果が生まれそうですね。」
「まぁ。その後は、月に乗ったカエルくんを描いて締めるんじゃないかな。」
「月旅行が日常化するまで、待っていても遅くはなさそうですね。」
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