第200話 ととのう悟りごっこ
「いや~今日もバツグンにととのいました!」
「クワヤマダくん、いくらサウナ好きだからといって、ちょっと行き過ぎじゃない?」
「せんぱい、僕は筋トレで自分を追い込んだ後に、サウナでキメルのが至福の時なんですよ。」
「最近、空前のサウナブームだけど、ととのうってどういう状態になるの?」
「一種のトランス状態ですよ。脳が開き悟りを開いたような感じになります。」
「お風呂じゃダメなの?」
「ダメっす!サウナの歴史は古くは飛鳥時代、かの奈良の大仏や五百羅漢を作った行基という僧侶が流行らせたものなんです。当時はから風呂(お湯に浸かる風呂は江戸時代)と呼ばれていましたが、庶民に流行った天然痘や病を癒すために、日本全国に普及させたらしいです。そこで、ととのった庶民の脳が開きトランスの時にお経を聞かせ仏教の普及にも利用しました。」
「サウナで身体を温めたら免疫力が上がり病気にも効果がありそうだけど、当時の人は仏教の力で治ったと思っちゃうよね。奈良の大仏のデカさや荘厳さにすがる気持ちは、今の人々とそれ程変わらないかな。」
「科学が無い時代ですから、サウナでととのった状態は、悟りを開いたことと同じと言われれば、ブッタの悟りの境地に立てたと満足するに違いないです。あくまで悟りごっこの範疇ですが。」
「やっぱり人間は行きつくところは、身体性なのかなぁ。」
「どんな娯楽より、ととのった瞬間は何にも代えがたい状態ですね。」
「アートとサウナは相性がよさそうだ。サウナにアートを持ち込めば、皆頭で考えてアートを捉えるのではなく、身体で感じてくれそうだ。」
「それは、チームラボがすでにやっています。サウナ好きとアート好きが、チームラボが作ったサウナに殺到しているらしいですよ。チームラボは庶民の精神に食い込んでいます。」
「行基の現代版だね。」
「行基は当時禁止されていた民衆への布教活動を組織にやっていたらしいです。土木や建築の最先端技術を生かしながら、1000人規模のチームでサウナや大仏を作ったので、まさしくチーム
「アートは時代もつくるし、人を動かすよなぁ。」
「アートに国境は無いと言いますが、アートを感じる人々の心がととのってさえいれば、ボーダレスの新しい境地が見えるんじゃないでしょうか。トランス状態で見たアートは身体にもろに入り込みます。垣根ゼロです。」
「これからは、作品展示会場にはサウナ必携の時代が来るかもね。」
「熱い時代が再びやってきます!アートの未来はととのい、かっ開いています!」
「未来が明るく見えてきたぞ。」
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