第199話 廃人新世の22世紀論①
「いや~。これで何カ所目だろう公園が潰されたのは・・。」
「少子化による公園廃止論者と高齢者憩いの場としての公園存続論者が闘っていた時代が懐かしいなぁ。」
「あの市政ヒーローたちはどこへ行ったのだろう。」
「あぁ。いっちょかみヒーローね。あの人たちは海外に住んでいるよ。民主主義、資本主義を謳っていた日本は今はボロボロ。数%のIT大富豪は皆海外に移住しちゃった。海外の高級住宅地から日本を憂えているそうよ。」
「『人新世の資本主義』と題した本が500万部売れた国だから仕方ないかな。」
「環境破壊を抑え格差を減らすための脱成長コミュニズムは劇薬だった。」
「あの本は売れれば売れる程、環境破壊が進むという矛盾をはらんでいた。作者は年収の上限を一人3000万円、最低でも500万円は担保するべきと言っていたけど、そんなこといっちゃって大丈夫かしらと思ったよ。」
「作者自身の収入が億を超えているものね。自分の首を絞めているみたい。」
「マルクス主義(マルクスが晩年に思考していた未発表の経済論)を再解釈し、資本主義に急ブレーキをかけて、成長や利潤・利益を平等に分配しながら、環境に優しい生き方をコントロールするためのコモン(共有財)をつくるんでしょ。資本主義に疲弊し疑問をもった人たちには受けたわよね。でも、人間はそんなロジックを素直に聞くのかしらと思ったわ。」
「収入が億を超えているのに、明日から3000万円ですなんて言われて従う人間がいると思う?」
「二酸化炭素の排出量の50%は世界の富裕層トップ10%が出しているみたい。自家用ジェットを乗り回していたり、大豪邸をボンボン建てていたり・・。それに対し貧困層は10%の排出量なんだって。」
「そんな数字を突き付けたところで改善すると思う?人間は下から上に這い上がるのは好きだけど、上から下るのは嫌がるものだよ。」
「この国には人がいなくなっちゃう。廃人新世の22世紀論だわ。」
「結局、無意識民主主義により、政治家が猫になっちゃうんだものね。」
「猫はかわいいから許せるけど、いつの間にかどら猫AIに政治を任せ過ぎたせいで、人新世論(脱成長)が実現しちゃった。猫に向上心は無いからね。」
「人間のしぐさや表情、つぶやきや雑談をデータとしてかき集め政治に反映した結果が、脱成長コミュニティ・コモンでしょ。AIの奴隷化した人間は思考力が低下したせいで判断力がグッと落ちたわ。すぐにAIの言うことを鵜呑みにするんだから。」
「うちの市は立地がいいから、他県からの移住者が凄い多いの。皆無表情であまり外にでないけどね。妙な行動をすると、どら猫AI政治家が第3次世界大戦を起こしかねないという噂が広まっている。何もしないのが一番らしい。」
「戦争は嫌だけど、戦後に幸せが待っているよと、どら猫AIが言い出せば、それに従ってしまう人間が多いかもね。それが今の人間の成れの果ての姿だわ。」
「皆、公園が無くても平気なわけだ。」
「公園でどら猫AIの監視に感情が読み取られたらヤバいからね。」
「ちなみに、のら猫とどら猫はどう違うの?」
「のら猫は飼い主がいるけど界隈をうろつく猫、どら猫は飼い主がおらず人の物を盗む猫だよ。」
「どら猫AIは、のび太の心を盗むドラえもんだな。」
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