第192話 ビワコB滞在記~近江八幡編③~

「フロイス殿、この抱き合う2匹の猿は、はげねずみ・・サルに似ておるな。」


「オダドノ、わたしは何ともお答えできませヌ。でもこの2頭は『猿の惑星』か『2001年宇宙の旅』に出てきた猿人かと。」


「フロイス殿も口が悪いのう。はげねずみに伝えておくぞ。あのキュルキュルと音がするものはオランダのビンか。」


「左様でございます。オダドノその水は飲み物ではありませぬ。」


「ええじゃないか。瓶底にあった黒く硬い物も飲み込んでやったわ。向こうにある光る変わった酒樽の群は何じゃ。」


「地球上から見える星を全て集めました。」


「ルイス殿、嘘をこくなころすぞ。わしはロマンが嫌いじゃ。あの色は蛍に違いない。」


「あの発光を浴びると寿命が延びると言われております。月から運ばれた宝物と言われております。」


「竹取物語か。月からの贈り物なら理解できる。」


「あの発光を浴びると不老不死になるらしいです。」


「発酵するんじゃから、朽ちるんじゃないのか。おのれ、わしをハメようとしておるのか。ルイス殿、あの発酵を浴びてこい。お前の嘘をこの場で証明してやる。」


「オダドノ、2階にある天井から吊るされた物体を見に行きましょう。」


「わしも子どもの頃はこのような鼻を垂らした連中が周りにいたぞ。触ると硬いが素材はなんじゃ。」


「これはガラスです。光を吸収する特殊な素材らしいです。」


「戦で使えそうか。」


「敵を欺くにはうってつけかと。」


「山奥でこんなものが出現したら驚くじゃろうな。ダイダラボッチでもいるんじゃないかと敵も慄くだろう。」


「ダイダラボッチの鼻水ですか。」


「ルイス殿はロマンがないのう。地球外生命体(エイリアン)の体液というのはどうじゃ。敵も怖くて近寄って来んぞ。」


「クワヤマダくん、さすがにそれは無理があるよ。いくらこのまちや倶楽部の展示がSF感漂っているからと言って、織田信長がエイリアンを語ることは無いよ。それより、腹痛は大丈夫なの?」


「せんぱ~い。この辺の展示会場を回ってみたんですけど、(トイレ)はあるんですけど、外から丸見えなんですよ。しかも、トイレットペーパーが無く、木片のようなアイスの棒みたいな小さな板があるだけで・・。」


「安土桃山時代に舞い込んだんだね。それは小さな板でお尻を拭くんだよ。で、結局どうしたの。」


「かわらミュージアムの八幡堀で・・・」


「あそこはかわらでじゃないからね。よくしたね。」


「はい。スッキリしました。」




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