第180話 さよなら人類は自由にする

「せんぱ~い、昨日のイカ天(三宅裕司のいかすバンド天国)観ました?あのラストエンペラーみたいな風貌の奴、強烈でしたね。」


「ラストエンペラー?知久さんのことかな。あのというバンドは興味深い。多分、オレと同じ年くらいじゃないかなぁ。」


「出た!昭和40年。イケイケバンド名が立ち並ぶ中、たまという不協和音はかなり破壊力がありますよね。」


「視聴者の思考回路を右斜めから刻んでくるような音楽性は、新しい世界観として人気が出そうだね。」


「ボーカルの柳原さんの作詞作曲には予言者の匂いがするのは僕だけでしょうか。」


はある意味予言的なものを感じるよ。」


「二酸化炭素をはきだして あの子が呼吸をしているよ どん天もようの空の下 つぼみのままでゆれながら(出典: さよなら人類/作詞:柳原幼一郎 作曲:柳原幼一郎)」


「これって、ナウシカの世界だよね。公害問題。まさに終末論。」


「今日人類がはじめて 木星についたよ ピテカントロプスになる日も 近づいたんだよ(出典: さよなら人類/作詞:柳原幼一郎 作曲:柳原幼一郎)」


「人間は土星に行く進化はしたが、共に退化も始まる。」


「武器をかついだ兵隊さん 南にいこうとしてるけど サーベルの音はチャラチャラと 街の空気を汚してる(出典: さよなら人類/作詞:柳原幼一郎 作曲:柳原幼一郎)」


「これから始まる。もう始まっている戦争を表している。」


「野良犬は僕の骨くわえ 野性の力をためしてる 路地裏に月がおっこちて 犬の目玉は四角だよ(出典: さよなら人類/作詞:柳原幼一郎 作曲:柳原幼一郎)」


「2001年宇宙の旅にこんなシーンがあった気がするなぁ。消滅した人類の化石を使って、闘い生き抜く新しい生命体。天変地異が起きて、生態系が狂うんだ。」


「こんな予言めいた歌をあのテンポで歌われたら、無意識レベルで人類の未来に不安を感じますよね。不安と恐怖を煽る自虐性が、自虐史観を埋め込まれた日本の若者にクリーンヒットしたのでしょうか。」


「クワヤマダくん、オレはこの歌には自虐史観から自由になるメッセージが込められていると思うんだ。」


「さるに なるよ さるに なるよ(出典: さよなら人類/作詞:柳原幼一郎 作曲:柳原幼一郎)」


「さるになるよは、人類は自由になるってことなんじゃないかなぁ。」


「進化と退化を繰り返し、本当の自由を掴むってことでしょうか。」


「さるは退化ではなく、進化した人類を表しているとも言えるよね。」


「人類を去る(猿)去り、自由になるのですね。」


なり人類ってとこじゃない?でも柳原さんが言うには、この歌には特に何もメッセージは込めていないとのことだよ。」


「そういうところが、余計に魅力を増すんですよね。イカようにも、意味が解釈できる作品って人の心に食い込むし強いです。」


「たまはイカすバンド天国が生んだ、異星だと思うよ。まんまと化かされた!」


「狸の金たま 八畳敷きです!」


「宇宙を包むくらいのスケールはあるかもね。」


















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