第177話 よろ~ず共和国

「ダイラさん、民主主義国家が最近ヤバいらしいですね。」


「急激な円安に加え、冷え切ったここ20年間の日本経済が民主主義国家の停滞を先導し象徴しているようだ。」


「ヨーロッパでは、日本みたいになるな!が合言葉とか・・。軒並み世界では、民主主義よりも独裁政治体制を敷いている国が増えているらしいですし。」


「民主主義は欠陥だらけだったってことかな。多種多様な価値観が蠢く現代を、昔ながらの選挙制度で政治家を決めることにも限界があるよなぁ。」


「政治家が本当に民意を政治に反映しているかと言えば微妙ですよね。」


「一層のこと、ビックデーターや監視カメラで民間人が日々出している無意識のメッセ―ジをかき集めて、AIが政策を打ち出すシステムがあれば、政治家はいらないという専門家もいるよ。」


「新しい民主主義ですか?」


「無意識民主主義と言うらしい。シュールレアリズムのオートマチック技法みたいで、アート性を感じるのは僕だけかな?」


「日本が経済的に停滞したのは、日本人がもつ自然観が原因という人もいますよね。二酸化炭素削減を無意識レベルで行っている日本はもっと世界から評価されるべきですよね。」


「君、それは皮肉ってもんだよ。経済成長しなかった原因を日本人の自然観にスケープゴートするなんて。」


「そうですよね~。」


「ローズ島共和国って知ってる?」


「イタリアの公海に石油プラットホームのような独立島を作った話ですか?」


「夢のある話だったけど、最後はイタリア政府にぶっ壊された。最高裁で公海はイタリアの主権が及ぶ判決が下ったみたい。」


「日本でも東日本大震災後に熊本県に移住して、新政府を立ち上げた坂口きょうへいという人がいました。新政府の首相官邸は熊本市内にある築八十年の一戸建ての家。日本政府の顛末にウンザリした結果の行動のようです。行動力が半端ない人です。」


「噂では、現在はクオリティの高いパステル画を描いたり、自分の電話番号を公開して自殺・希死念慮の人と電話相談をしたりしているようだね。新政府活動はアートとして位置付けているらしい。」


「この日本・民主主義国家から逃げてしまう人たちがこれから出てくると思います。」


「僕の周りの富豪たちは、シンガポール共和国に移住し始めているよ。」


「シンガポールは税率が低く所得税が日本の2分の1だから。世界中の富豪が集まる共和国になりますわ。」


「アートの世界も独立国家を作ったらどうかな。」


「突然飛躍しますねぇ。世界の富豪が、宇宙や海、地下やメタバースに独立国を作り始めているのは分かるけど、庶民はしばらくは非効率で無駄の多い世界に住むしかないんじゃないかなぁ。アートの独立国は極貧国になる気がする。」


「お金配りの前澤さんも、承認欲求が強いから更にお金を配って弱者を沢山集めて、独立国を作りそうですもんね。」


「一人で王様はつまんないからね。崇める庶民が必要になる。」


「では、未来は数多に存在するよろ~ず共和国を選べる時代が来るかもしれませんね!」






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