第167話 超人ダイラのセルフコラボ

「今日は急に寒くなってきた。そろそろコタツでも出そうかしら。」


「君はコタツという文明が生み出したまやかしで本当に幸せになれるのかい?」


「急にどうしたの?焚火でもやれというの?」


「世界の金持ちどもは、暑けりゃクーラー、寒けりゃヒーターとバンバン使うが死んだら地獄行だ!」


「そのくらい、あんただって使っているでしょ。あんたも地獄行よ。」


「違う!金や文明の力を利用することで幸せになると信じてきたが、それが疑わしいってことだ!」


「あんたもしかしてダイラさんの哲学ブームにダイレクトに影響されてる?」


「はい。ニーチェのです。」


「金持ちを悪に仕立て上げ、貧乏人が善であり天国に行けるというという捏造された考え方を奴隷道徳と名付けた〇〇教を、ニーチェはニヒッタっていう話?」


「自然界には強者と弱者の見方はある。ライオンがシカを食ったり、雑草がか弱い花を覆ったり。でもそこには善悪は存在しない。人間の中にしかない善悪の概念を利用して、お金持ちで健康や才能に恵まれた者を強者を悪、強者の足を引っ張る弱者を善にし群集本能を煽ったところが、〇〇教が爆発的に広まった要因だとニーチェは考えた。」


「ニーチェと言えば永劫回帰えいごうかいきという考え方も特徴的だよね。」


「原子の数は決まっているので、私たちの世界は原子の組合せを変えているだけ。」


「今こうして話している状況もいつか再び訪れるという考え方よね。」


「歴史は進歩も前進もない。ただ円環運動する時間の中で変化するだけ。」


「人間の歴史を振り返っても同じようなことが繰り広げられているのは、あながちニーチェの言う通りかもしれない。アートにしても、同じようなことが言えるかも。」


「でも、ニーチェは永劫回帰にも光があると言っている。円環運動するならダラダラ生きると考えるのではなく、目標や夢を持って回れば超人になれるというのです。」


「そっか、回っていれば同じような場面が来るんだから、それに備えて次はこうしてやろうああしてやろうと工夫ができるってことだね。」


「ダイラさんのセルフコラボレーションが正にそれだ。」


「ニーチェは円環運動に夢を持てた人は超人になれると言っていた。」


「ダイラさんは過去の自分とグルグルと対面することで、セルフコラボという新しい価値を生み出しているのですね。」


「超人は奇想天外な発想で新しい価値を生み出すんだ。ニーチェは〇〇教は批判したけど、新しい価値を生んだ創始者は否定していない。」


「ダイラ物語も同じような場面をグルグルしているけどいつか超人的な物語になるかもしれないね。」


「超人ダイラに学ぼう!」



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