第160話 GIGAスクール構想①
「ゼンコウズィ堂付近で発見された石室の中には書物もあった。」
「ダイラ物語だろ。」
「三世さんの先祖ダイラさんをオマージュしたモンスターエッセイ(大河随筆)は当時のギネス記録を更新したとも噂されている。」
「ちょっと読むのには勇気がいる量だね。電子書籍化が当たり前だった時代に紙にした理由が分からない。」
「多分、作者の趣味ではないかと推測されます。特殊照明作家だったダイラさんを勝手にオマージュしてエッセイにしたため、作者の妄想や空想が入り混じり各美術関係者団体から訴えられ一時期は発禁になったとか。」
「後世では一度絶版本となったダイラ物語ですが、ある分野から再評価を受けていたようです。」
「内容がハチャメチャだからどの分野からなのか予想ができない。」
「教育界です。」
「それで、前回のコロナ戦争中のGIGAスクール構想の話とつながるわけね。」
「ダイラ物語もコロナ戦争渦に執筆されました。GIGAスクール構想と深く関わっています。」
「そもそも
「2019年に当時の文部科学省が発表した教育改革案です。GIGAはギガバイトのギガではなく、「Global and Innovation Gateway for All」の略で、「すべての児童・生徒にグローバルで革新的な扉を」という意味が込められたとか。」
「ギガはギガバイトにかけているのは文科省の役人がオヤジギャグで言い始めた感が否めない。それじゃ電子戦隊デンジマンに影響を受けたみたいで格好悪いからそれなりの英語解釈を後付けしたようだ。」
「この改革案の目的は、子どもたち一人ひとりに対して個別最適化された創造性を育む教育や、情報通信や技術面を含めたICT環境の実現だった。児童生徒1人1台の学習用端末(タブレット)やクラウド活用を踏まえたネットワーク環境の整備を行い、個別に最適化された教育の実現を目指したようです。」
「どうせ、理念と予算はつけたけど現場は動かなかったオチでしょ。」
「その通りです。コロナ戦争前にはGIGAスクール構想は現場ではほとんど進められてはいませんでした。コロナ戦争中、緊急事態宣言が発令されて子どもたちが自宅生活が長引いたため、現場も重い腰を上げたようです。」
「世界最長の縄文時代を築き、鎖国で時代遅れになったスロースターター日本ならではの現象だね。」
「世界ではICT教育が当たり前であった当時、日本はかなり出遅れたのです。世界の潮流を知らない現場の教師たちは、子どもに渡されたタブレットに強い抵抗感をもちます。」
「縄文人に火縄銃を渡されても困るものね。」
「1970年代校内暴力を鎮圧してきた昭和の教師は困惑しました。ゲーセンに通う生徒や構内に漫画本を持ち込む生徒を取り締まることに人生をかけていた教師たちの目の前に、教育のツールとしてゲームと漫画が瞬時に閲覧できるタブレットが現れたから。」
「排除し続けていたものが、教育と言う名の元に生徒に手渡されるショックはでかい。」
「着物から洋服、髷を止めて散切り頭にした大正デモクラシー並みの転換だわ。」
「現場では
「変化を嫌う日本人には過酷な試練だね。」
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