第153話 ジョジョに⑥BIWA法師☆ダイラ家物語

「せんぱ~い。今日は僕の・・。」


「クワヤマダく~ん。琵琶湖で展覧会があるんだけど、手伝いに来れる?」


「今日は年に一度の・・。」


「そう言えばさ~。助手のスボイくんとカワグチくんが最近いないんだよね。頼みたいことがあるんだけど、どこに居るか知ってる?」


「知りませんよ!シマダがその辺に居るんじゃないですか?」


「シマダくんは、気分屋で芸術肌だからね。頼んでも途中で消えるんだよなぁ。」


「総務課に彫刻科出身の男がいますよ。誰もいないのなら、そいつに声かけてみてください!」


 ガーターヤマガタはカワグチになった3人にリヤカーを引かせていた。3人は食事も与えられず、疲弊していた。


「おい、俺たちはいつまでリヤカーを引くんだ。」スボイはぼやいた。


「あのジジイめ、すやすや眠りやがって、今のうちにヤルか。」初代学長は目を光らせた。


「あれ?あそこに誰かがいる。奇妙な歌を唄っているぞ!」シマダは叫んだ。


 その唄声を聞いて、ガーターヤマガタは目を覚ました。


「あれは、BIWA法師じゃ。ダイラ家物語を唄っておるのじゃ。しかし、あやつも妖怪、前を通る際には、息を止めるのじゃ。」


「おい、ジジイ、もしもあいつが妖怪だったら、どんな攻撃をしてくるんだ?」スボイは怖気づいた。


「クビが飛ぶ」


「マジかよ。おい、絶対に息を止めるぞ。いいなぁ。いっせーのでで、あいつの前を通過するから、協力しろよ。」


 五人はたっぷりと息を吸い込み、勢いをつけて、リヤカーを走らせた。しかし、BIWA法師の前を通過した瞬間、BIWA法師がリヤカーに飛び乗ってきた。


「おい、それは聞いてないぞ。これじゃいつまでも息が吸えないじゃないか!」


 三人のカワグチは恐怖のあまり、リヤカーを止めた。ガーターヤマガタは息を止めたまま目を閉じている。カワグチ(元シマダ)は屁をこいてクビが飛んだ。ガーターヤマガタは寝言でクビが飛んだ。カワグチ(元初代学長)、カワグチ(元スボイ)は、琵琶湖に飛び込み助かった。BIWA法師は、何事も無かったようにダイラ家物語を再び唄い出した。


「あれは、やべー奴だ。このまま、琵琶湖を泳いで逃げよう。」ガーターヤマガがヤラれ、呪いが解けた初代学長とスボイは、ボロボロになりながら対岸まで泳いだ。


「いや~。死ぬかと思いましたけど、難を逃れましたね。」スボイの顔は死神のようになっていた。


「こんにちは。あなたたちは、この琵琶湖を泳いでいらしたのかしら。」


 目の前には、この世の人とは思えない美しい女性が立っていた。二人は汚い長髪をかき上げ、正座をした。


「僕たちは怪しいものではありません。」怪しい奴の言うセリフだ。


「こちらへどうぞ。」天女のように美しい女性は、二人を連れて、煌びやかな宮殿に招き入れた。


「クワヤマダくん!シマダくんがいたよ。なぜか憔悴しきっていたけど、手伝いを頼むことにしたから。クワヤマダくんも暇があったら、琵琶湖まで来てね!」


「せんぱ~い!今日は僕の・・・。」


 


 

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