第148話 ジョジョに奇妙な美大物語①
「〇羽美術大学の初代学長は、スボイとカワグチを教授にすると約束したが、二人にある試練を与えた。」
「初代学長が学生時代に制作した、二つの石製仮面を被った状態で二人を闘わせ勝った方に給料を2倍にすると約束した。ところが、カワグチが最初に被った仮面には不思議な力が宿っていた。」
「実はその石製仮面は初代学長が制作したものではなく、旅行先で見つけた仮面だった。」
「カワグチの体は急激に巨体化し目の色が紫色に変化し、周辺にいた奴隷美大生を喰い始め、材料として置いてあった巨大な石や鉄を放り投げ始めた。」
「石製仮面の魔力に慄いた初代学長とスボイは、猛ダッシュで逃げた。」
「初代学長、カワグチはどうしちゃったんですか?」
「そんなことは知らん。あの石製仮面には特別な力が宿っていたんだ。あのもの凄いパワーは魅力的だが、美大には必要のない力だ。」
「確かに、石や鉄はを運ぶ重機はありますし、学生を喰う奴はいても困りますよね。でも、現代美術家を殲滅するためには、あの力は使えるんじゃないですか?」
「スボイくん、何だか君とは気が合うね。でも、あの悪魔をコントロールできないよね。」
「取り合えず、漫喫に逃げ込みましょう。そこで考えましょう。」
二人は都心の漫喫に逃げ込んだ。悪魔と化したカワグチは、三鷹駅まで仮面をつけたまま二人を追いかけた。不気味な顔をした犬が群れをなし、玉川上水のある場所に溜まっていた。カワグチは腹が減っていたので、情けない人のような顔をした犬どもを喰い漁った。
その頃、初代学長は個室でビデオを見まくり愉しいひと時を過ごしていた。スボイも同じように好きなビデオを探していると、見知らぬ老人に出会った。
「君は若い素人もんが好きなのか?」
「いや~。こだわりはありますけど、爺さんには言えないなぁ。」
「クソがきめ。貴様にはオーバーエイジの技を教えちゃるわ!」
スボイは目を細めてビデオの棚に目を向けると、爺さんは股間にぶら下がっていた細い棒を突き出し、スボイの横腹に突き刺した。スボイは息が止まった。
「呼吸はするでない。その痛みが回復すると同時にオーバーエイジが使えるようになる。」
「スボイの口元は『す』を表してした。」
その時、悪魔と化したカワグチが漫喫に入ってきた。血の匂いをかぎ分け、この場所を探し出した。漫喫のビデオコーナーを物色し始めた。その時、老人が叫んだ。
「スボイよ!オーバーエイジだ!」
スボイは渾身の力を振り絞り、ビデオコーナーに気味の悪い波動を送った。すると、ビデオの表紙の若い人々は見る見る内に老人に変わった。これが波動によるオーバーエイジの力だった。ちなみに、スボイが選んだビデオに変化は無かった。
「何だここは!ビデオの写真が老化している!オレの趣味じゃない!うぎゃ~!!」
カワグチはショックを受け、店から出てきた。丁度その時、道端を怪しい動きで特殊照明を振り回していたダイラと遭遇した。カワグチはダイラの照明を見るや否や、不気味な音を立てながら体を溶かし気化した。
「ふふ、あの石製仮面は水銀灯の光に弱いんじゃ。」
見知らぬ爺さんは、石製仮面の謎を知っているようだった。スボイは自分の選んだビデオが無事だったことに安堵し、初代学長は、何事も無かったように個室でニヤニヤクネクネしていた。
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