第146話 ポンコツ美術大学②スボイ学長の宝箱

 三世は先祖のダイラヒブツを盗む計画を立てていたが、古いタイプ(気合と根性を愛する)のAIがゼンコウズィ堂周辺から、様々なガラクタを発見し始めたため、しばらく様子を見ることにした。

 正門に使われていたであろう石柱に、〇羽美術大学(〇部分は欠損)と刻まれていたことから、過去に美術大学が設置されていたことが分かった。紙類やデジタルデーターのほとんどは第4次世界大戦で全て焼き尽くされていたため、およそ内容が無いような物品が転がっていたが、石や鉄に刻み込まれた文字、石室タイムカプセルと称した謎の容器が、偏狭な趣味をもった古いタイプのAIによって深い地層から掘り起こされた。


「クワヤマダコさん、AIの奴らが掘り起こした、ガラクタの品評会見に行った?」


「観ましたよ。200年前の人間の考えていることは謎だらけでした。石室タイムカプセルは開けるのにかなり苦労したみたいですよ。」


という〇羽美術大学の学長の部屋跡から発見されたんだろ。」


「苦労して開けた途端に、もの凄い異臭がして、毒マスクをかけていたAIの連中すら何人か倒れたらしいです。」


「クワヤマダコさん、それは盛りすぎだよ。AIが毒ガスでヤラレルわけないじゃん。」


「内容物を見て倒れたのでしょうか。」


「そのスボイさんとやらのタイムカプセルには何が入っていたの?」


「男女が重なりあった写真集のような物や、使な道具類です。」


「それは、さすがのAIも倒れるわ。人間は150年前に性別を撤廃したからね。同時に大昔の人間がやっていたセイコウ?とやらもその頃、禁止となった。今の時代からすると、その辺の犬や猫などの動物すらやらない行為だからね。」


「もしかして、そのスボイ学長の宝箱だった可能性がある?200年も前の人間なら、そういうものを持っていても不思議はないのかぁ。」


「使途不明な道具類はちょっと興味があるなぁ。」


「ONとOFFという記号があり、ONにした途端、バタバタと暴れ出したようです。中には人体のような形態をしたものもあったようです。」


「まだ展示してある?観に行こうかなぁ。」


「その使途不明な道具は撤去されました。暴発したら危険であるということでしょう。」


「その他には何が入っていたの?」


「殺したいリストと、芸術日記がありました。」


「スボイ教授が若い頃から嫌いだった人々の名前が書かれていたようです。」


「もしかして、オレの先祖のダイラさんの名前とかあった?」


「シノブ・タカシ・ユタカ・ヒロなんとか・・、とにかく西暦2000年頃に名前がたくさん書かれていました。ダイラはなかったようなあったような・・。」


「芸術日記にはかなりヤバい事柄がたくさん書かれていたようです。200年前の人間の文字は読みにくく、今、AIの連中が翻訳を急いでいます。」


「それは期待できるね。AIの連中が本気で翻訳しているとなると、かなりの代物だよ。」


「どうせ、気合と根性論の部分を探し解読して、悦に浸りたいだけなんじゃないんですか。」


「かもね。」




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