ダイラダンス
第131話 お盆でナイトフィーバー
「今年のお盆は、かなりハイになったね。」
「小出家のお盆でナイトでしょ。フィーバーしたね。」
「オレら人魂に、全日本霊人魂連盟から見舞金が事前に支払われたんだから。」
「人魂はさ、ひっそりと、お盆期間を過ごせばそれなりな手当が出ていたんだけどね。今回ばかりは、連盟も心配してくれたみたい。」
「日本のお盆で、人魂とアートのコラボなんて聞いたことないからね。」
「人魂に負荷がかかり、今後の人魂活動に影響がある可能性があるかもしれないという名目での見舞金だった。」
「でもさ、実際にアーティストとのコラボは、何とも言えない、爽快感があったよね。」
「連盟には悪いけど、負荷と言うより、新しい楽しみを見つけた感がある。」
「例年なら、各家庭の仏壇近辺で、人魂ダンスをお披露目して終わっていたけど、今年は、小出家の庭で大暴れしたからね。地域の人魂が大集合しちゃったんだから。」
「特殊照明作家のダイラさんだろ。霧だか煙を噴射した中で、水銀灯をブンブン振り回すパフォーマンスは、人魂の度肝を抜いた。」
「人魂に度肝はあったけ?」
「オレら人魂も、あの光に合わせて、激しく舞ったもんね。多分、写真や動画に映ったと思うよ。たまに、水銀灯に当たって、燃え尽きそうになったけどね。」
「バーンアウトは人魂界では珍しい。」
「冥土の土産になる最高なイベントだったなぁ。」
「最近、お盆をあまり盛大にやらない人たちや地域も増えているみたい。コロナの影響もあるのかなあ。」
「昔は、お盆と言えば、親戚が集まったり、地域で盆踊りがあったり、賑やかだった。人間と魂が交わる、年に一度の最大イベント!」
「小出さんのお盆でナイトのイベントは、失われつつある日本のお盆の在り方に、一石を投じている。」
「だって、あれだけ、盛り上げてくれたら、やっぱり人魂名利に尽きるからね。」
「お盆でナイトは、年に一回の人魂ディスコパーティとして、集客力(集魂力)があると、報告書に書いて、連盟に提出しておこう。」
「来年からは事前にパーティ券を発行するのもありかもね。人魂界の出会いの場にもなる。」
「身寄りの無い人魂たちが日本中から集まるかも。水銀灯に魂が群がり、とんでもない光が発光するかも!」
「凄いイベントに展開しそう!」
「でも、小出家には、何魂入場できるのかなぁ。」
「何魂でも大丈夫だよ。行列のできる、お盆でナイトフィーバーっていう呼び込みなら、かなり集まりそうだ。」
「行列を見たら、更に集まるだろうね。」
「休日の朝パチンコじゃないんだから。」
「今から、来年のナイトフィーバーに期待しちゃうわ!」
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