第116話 奇獣 太陽の塔

「人類金鉱の運命もいつかは消える、それでよいのだ。無目的に膨らみ、輝いて最後に爆発する。平然と人類がこの世から去るとしたら、それがぼくには栄光だと思える。そう岡本太郎も言っていた。」


「TAROさん、予想を遥かに超えたクライマックスでしたね。」


「あぁ、あたしも驚いた。あれは予想できなかった。大したもんだよTAROMAN!」


「それにしても、私たちの予想はかすりもしなかったなぁ。それはそれで、想像を超えているとも言えるのでしょうか。」


「あたしたちが考えたラストは固定概念に嵌まり込んでいたことを反省しよう。TAROMANは視聴者が絶対に求めていないことをやらかしたからね。べらぼうに期待を裏切る、TAROMANはテーマの本質を表現し切ったと思うよ。」


「消滅するのは、TAROMANだと思ったんだけどなぁ~。まさかのまさかです。」


「悩みが増えたら、違う大きな悩みを探して、ぶつかればいい。と岡本太郎は言っていたとナレーションしていたが、TAROの私も、忘れていたよ。」


「あなた、本当にTAROさんなのですか?怪しくなってきた。」


「ダイラくん、そんな小さな悩みは捨てて、もっと大きな悩みにぶつかっていきなさい!そう岡本太郎も言うと思うよ。」


「TAROMANは、大きな悩みを求めて、旅立ってしまいましたね。少し残念です。」


「寂しいよなぁ。」


「奇獣太陽の塔は、ただの奇獣でした。祭りとか呪術とか、慎太郎の要素は全くありませんでした。TAROMANの攻撃を受けたあとの展開は、ぎょぎょ!って感じでしたが、あれは人気キャラクターが生み出されたあとは、グッズで儲けるという、商売根性のメタファーでしたね。」


「フュイギアは売れるからね。太陽の塔のフュイギアは再び売れ始めると思うよ。ネタばれになるから、あまり言えないけど、に刺さった太陽の塔は絶対に欲しい。」


「卑しい商売根性が見え隠れする結末でしたが、TAROさんは許せますか?」


「いいじゃないか。美しくあってはいけない、好かれてはいけない、売れようと考えてはいけない、孤独を愛せという、あたしの言霊だって、商品なんだから。」


「現代アーティスト松澤宥さんも、地球は消滅みたいな、TAROさんと似たようなこと言っていましたけど、グッズがないですもんね。」


「あの人はモノホンだね。でも、より多くの人々に主義主張を届けるためには、芸術は芸能や商業、政治と強かに繋がらないと、広がらないんだよ。」


「純粋さを保持することも大切ですが、保持している様を売りに出す強かさでしょうか。」


「こういう話はデリケートな問題だから、秘話として、また話そうね。」


「それにしても、TAROMANはこれで本当に終わりなのかなぁ。世間が許さないんじゃないかなぁ。今後、再放送は決まっていますが、続編や映画化、小説化も期待できますかね。」


「脚本家の藤井亮さんは、大嘘博物館の運営で忙しそうだからね。しばらくは世間の動きを見守るんじゃないかな。まぁ、とりあえず、地球を去ったTAROMANには、ここに来てもらおうよ。」


「まさか、対談するんですか!?」


「ふふふ・・。」








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