第108話 芸術はコマネチ×疾走する目

「芸術は爆発だ!・・ダイラさん、今のはどうですか?」


「コウジくん、あんまり似ていないよ。もっと目をひん剥いて!」


「芸術はだ!」


「うけるね!でもそれはダメだよ、たけしのネタと混ぜたら、プロデューサーに怒られるんじゃない?」


「ダイラさん、コウジくんは誰でもピカソ、勝ち抜き7連続がかかっていますからね!そのくらいインパクトがあってもいいと思いますよ。」


「クワヤマダくん、コウジくんはお笑いスター誕生に出るわけではないからね。」


「せんぱ~い、それはそうですけど、日本では芸と芸の境目が曖昧じゃないですか?」


「クワヤマダくん、いい質問だね!」


「わ!ダイラさんの中にいるTAROが出てきた!DAIRAMANだ!」


「池上彰っぽかったけど・・。」


「僕はね~、君たちはあまり知らないと思うけど、売れたのは結構晩年なんだよね。遅咲き芸人みたいなもんだよ。」


「そうなんですか!芸術は爆発だ!は知らない人はいませんよ。」


「対極主義って言ってね、結構若い頃から精力的に発信していたんだけど、所属していた会派からも追い出されちゃう始末。誰からも相手にされない時期が結構長かったんだ。もう、暇すぎちゃってさ、40歳でスキーを始めたからね。骨折も経験したよ。」


「TAROさんの名言集にスキーのこともよく出てきますよね。」


「命がけで遊べ!はスキーをやっていて閃いたんだ。趣味で始めたんだけど、こりゃ命がけだと思って、いつしか真剣な遊びになったよ。あと、縄文ブームが来ちゃって私財を投げうって、縄文土器の研究にのめり込んだ。縄文土器の研究なんか、当時誰もやっていなかったんだから。これも命をかけた遊びだろ。」


「本業は人間だ!と言っているTAROさんも、そうは言ってもアーティストが生業ですからね。スキーや縄文研究は余暇ですもんね。」


「でさ、太陽の塔を作ってから、しばらくしたら、テレビコマーシャルの仕事が舞い込んできて、そこで、プロデューサーに唆されて、芸術は爆発だ!って言っちゃたんだ。」


「あれは、インパクトのあるCMでした。」


「その後、人生が大きく動き出す。お笑い界の天才、ビートたけしがオレの真似をし始めたんだ。」


「たけしがTAROさんを変わったおじさんに仕立てて、スターにしたってことですか!」


「今で言う、一発芸みたいなものだよね。一発屋ではなかったけど。」


「なるほど、TAROさんが全国に疾走したターニングポイントだったんですね。」


「TARO芸術は芸能により拡大したのだ。賛否両論はあるだろうけど、マイナスに飛び込めって言葉も、仕事を選んじゃいけないよというメッセージなんだ。自分で価値を定めない、どんな場所でも、誰とでも命がけで遊べば、いいんじゃないか。」


「人々の記憶に焼き付けられたTAROさんの生き様自体が、疾走する目(TARO)なんですね!」


「コウジくん!やっぱり、芸術はコマネチだ!をやるべきだよ!」


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