第78話 究極!アートの最前線
「ダイラさん!
「空気の缶詰が売れるんだったら、何でもありだよね。あなたが何かを空想していた時間とその場の空気をビニール袋に詰め込んで、展示・販売してもいいんだものね。」
「見えないものに価値をつける世界は最強です。」
「見えないものに枠(額縁)をつける行為はアートの成れの果てだね。」
「そもそも、四角い紙に絵を描く行為だって、考えてみれば、不思議です。自然界には四角なんて存在しないのだから。」
「自然界には存在しないんだけど、進化した人間の脳内にはあるんだよね。町中の建物や身の回りの生活用品を見れば、一目瞭然。四角いモノだらけ。スペースを効率よく合理的に仕切り、活用するには四角がベスト。絵を描く行為だって、展示するときの合理性を考えた上のものだと思うよ。丸い絵は描く方も展示する方も落ち着かない。」
「洞窟画に四角い枠はないですもんね。展示するという、概念が生まれたからこその四角なんですね。」
「あと、重力のあるこの世界は天地の概念がある。丸だと天地の堺が曖昧になってしまい、気持ちが悪い。」
「宇宙船内も天地が決まらず、脳が混乱して吐き気が止まらないと前澤先輩が言っていました。生活空間は四角に設計されているみたいですが・・。最近、まるくなったね。と言われたら、はっきりしなくなった曖昧な人という意味ですものね。尖っていた頃は角が分かりやすく、注目されていた。ベテランアーティストが最後まで尖っていたいと言うのは、分かる気がします。」
「展示する概念から解放されたのが、現代アートだと思うよ。だから、
「バナナをガムテープで壁に貼るだけの作品を見たことがあります。」
「あれは、富豪がバナナの値段を知らないというジョークを売っているんだ。人のSNSの画像を拡大して展示しちゃう輩もいるんだよ。人のものを勝手に売っちゃう行為がアート。」
「ダイラ物語もそれに近いんじゃないですか。市川平さんの人物像や功績を勝手に解釈して、エッセイと称して、別次元の話にしてしまう手法。」
「市川平さんをモデリングしている内に、違うものが現れてきたそれがオレ、ダイラなんですよね~」
「一人の人物と作品をこねくり回したら、そういうことになるんですか?」
「まだまだ、異次元なものが生まれるかもよ。この話がもっと先に進んでからのお楽しみだね。」
「いや~大部、この作者のアート?行為に読者は呆れていると思いますけど。」
「そこからがスタートだと思うんだ。新しいアートの概念は、思考の限界を突破したときに生まれるから。」
「まぁ、こういうわけの分からない理屈が、現代アートの理解不能なところなんだよなぁ。」
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