第75話 価値爆下がりアート
「せんぱ~い。NFTアートの未来を予言している後輩のやよいちゃんの話が面白そうだったので、連れてきました。」
「愛はとこしえ、あたしには、アートの未来は全て見えるの。」
「クワヤマダくん、やよいちゃんの目が血走っているけど、大丈夫?」
「草間さんをリスペクトしているだけです。彫刻科2年、趣味で日本人形を作っています。」
「その日本人形の髪はもちろん、おかっぱピンクなんでしょ。」
「せんぱ~い、やよいちゃんの話はここまでで、NFTアートの行く末について聞きましょうよ。」
「イーサリアムという世界で安全性と信頼、将来性のある仮想通過をつかったNFTアートはとにかく人気が爆上がり。」
「ツイッター創業者のジャック・ドーシー氏のツイートが数十億円で売れたんでしょ。」
「ダイラさん、NFTで流行っているアートをご覧になられたことはありますか。」
「見たことはあるけど、そんなにぐっとくるアートには出会えていないかなぁ。ドットのイラストはノスタルジーはあるけど、高額で取引する価値があるのかというと分からないよ。」
「そこが問題なのです。ブームに乗って盛り上がっている割には、本質的な美とは少しズレ始めているのです。」
「人間は理論や思想、ストーリー性や歴史的価値に美を感じるから、今は希少性を感じるコンセプトに投資している。その希少性に大した意味が無いと気付いたら?」
「先ほどのツイッターの価値は只今暴落しています。45歳のオジサンの一言にそんな値をつけるのってどうなの?っていう感覚でしょう。」
「このエッセイを書いている作者も45歳だけど、言葉に重みがないんだよね。価値を暴落させたい気分も理解できるなぁ。」
「結局、人間は本当に価値のあるものとそうでないものを直観で見分けます。一過性のブームにはひょいひょいと乗るのですが、継続するためには、人が無意識で定義している美意識に働きかける何かがないと難しい。」
「結局、普遍的な美が存在しない、注目が集まらないものは淘汰されていくんだよね。」
「話は飛びますが、火星の土地を世界中に切り売りした結果、いざ火星へ移住したら、だだっ広い場所でも、住むところが制限されて、つまんなくなる現象は近未来起こります。」
「自分の内臓のデーターをNFTアートとして切り売りした結果、病気になっても、自分の内臓のデータは売られちゃっているから、治療ができなくなっちゃう現象と似ている?」
「さすがやよいちゃん。アートはとこしえだね。何でも売れるからって売ればいいもんじゃないんだね。NFTアートについては、一回大暴落するのを傍から眺めて、安定した世界になってから、始めるのがいいかもね。」
「せんぱ~い。ぼくの大切なゾウちゃんとのワンショットをNFTアートに出品しちゃいました!どうしましょう!」
「クワヤマダくん、それは大丈夫だよ。NFTアートの結末は、ブックオフで、数年前まで売れまくっていた本が、100円で売られている様子と似ているかもなぁ。」
「アーティストの価値を左右する可能性があるから、慎重に関わっていくことが重要だね。」
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