第72話 エイリアンを産むヒト

「ねえ、ダイラさんが、何でSF風な作品にこだわっているか知ってる?」


「幼少期から観ているSFアニメやドラマ、映画の影響でしょ。それが定説じゃないの?」


「実は、最近、ダイラ先生はが唱えられているんだよ。」


「え?僕は宇宙人でした・・と急にダイラさんに言われても、疑問はないけどね。あれだけの天才は常人ではないと思うよ。でも、ダイラさんのお母さんはお会いしたことあるけど、優しそうな綺麗な方だったよ。」


「まさか映画エイリアンみたいなイメージだった?その想像はちょっと古いよ。どうもダイラさんのお母さんは、ダイラさんを出産する前に、ムー編集者の伝手で、とある地球外生命体とコンタクトをとり、地球外生命体の遺伝子を母体に組み込んだらしいんだ。」


「そんなSFな話があるもんか!の常識から逸脱した話だよ!」


「ははは。冗談だよ。ダイラさんがオレは宇宙人かもしれないとこの話してくれたんだ。でも、ダイラさんのSF話を聞いていると、そういう未来が近いんじゃないかと思うときがある。」


「そう言えば、女性がプールでするアートを見たことがある。あれも、人間が宇宙人を出産する発想と似てますよね。」


「SFサイエンス・アートだね。家族とは、産むとは、子どもとはという問いかけをした、長谷川愛さんの作品だ。」


「未来の人口過剰となった世界では、人を生み育てること以外に、人以外の生命体を生み育てる自由が人間に与えられる。発想がSFだ。例えば、自分が好きなマグロを食べるためにマグロを出産し、生育して食べるということ・・。鑑賞者の思考を混乱させるね。」


「食べちゃいたいくらい可愛いって、私も親に言われたことあるかも!」


「ちょっと怖いけど~。人間の生活と地球環境のバランスが崩れていく未来に、自分の子だけでなく、絶滅危惧種をすることが提案されているんだね。」


「長谷川さんは、医大と工芸大・芸大で研究員をして、ロンドンのRCAや米国のMITメディアラボに通っていた、異色のアーティスト。」


「発想は、ムーの特集でありそうだけど、裏付けが本物って感じがするね。最先端の人々が思い描いている近未来像をマジでアートにすることで、私たちに問いかけをしていると思える。」


「愛する人の子どもを産む発想から、自分が愛するものを産む発想に変わる近未来があるんだね。」


「う~ん。複雑だなぁ。ホモサピエンスの創造力に制限をかけることは難しそうだ。」


「自分で自分を産む人も現れそうだ。」


「ぱっとしない人生だったから、もう百年自分をやり直したいと、自分を産む。」


「自分歴300年っす!という輩も出てきそうだ。」


「あの家の親父は、自分歴400年目にして、酒を止めたらしい。とか、あるかもですね。」


「あると思うよ。人間は環境に適応する動物だからね。数百年先に生きる自分を想像すると、どう振舞っているのか、興味あるなぁ。」









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