第67話 天然かもしれない①
「最近、ダイラさん、いろんなアーティストとコラボレーションをしているよね。」
「きっと、コラボブームが来ているんだよ。でも、コラボ疲れもありそう。」
「コロナ疲れみたいに言うなよ。」
「疲れもあるのか、いよいよ、過去の自分の作品とのコラボも始めたみたい。」
「あれは、凄い展示だった!あの展示を見て、この天然エッセイを書き始めた人もいるんだから。」
「確かに、一体いつまで続くのか見通しが全くないこのエッセイは、ダイラさんから、市川平研究の第一人者(笑)として仮認定されているそうだよ。」
「天然じゃなきゃ、そんなダイラさんの迷惑になるようなことはしないよなぁ。」
「ダイラさんの周辺の人たちも、このエッセイには困っているみたい。」
「天然と言えば、アンリ―・ルソーもかなりのド天然だったらしいよ。」
「あぁ、足が描けないから、草木で隠したり、遠近法を無視した巨大人間や動物を、写実画として主張して描いていた人でしょ。葉っぱや植物の描写や色彩感覚が凄まじいという・・。」
「そうそう、ルソーは、頼まれもしないのに、知り合いに肖像画をプレゼントしていたらしい。皆、迷惑がって、その辺の露店に売り飛ばしたんだって。」
「その、露店で売られていたルソーの絵を発見して500円で購入したのが、ピカソ!」
「ピカソがルソーを見出し、ド天然の天才アーティストとして、リスペクトしたんだ。」
「シュールレアリズムの人たちも、ルソーのヘンテコな絵を見て、デペイズマン技法(異和感を生じさせる概念)を発明したようだよ。」
「日曜画家で、絵が一向に上達しないルソーは、天才ピカソにおだてられたものだから勘違いして、バンバン創作を進め、色んな人に自分の絵を配った。しかも、前払いを要求して・・。国民画家だから信用せよ!とふれ回っていたみたい。」
「それは、天然だね。でも、天然が奏して、世界で名の知れ渡る画家になったんだろ。」
「言霊は恐ろしいね。本当にそうなってしまった。」
「天然って、あながち馬鹿にできないんだ。草間彌生だって、水玉を生涯描き続けて世界で名の知れる存在となった。ゴリ押しもいいところだよ。同じことを生涯続けると、周りは認めざるを得なくなる。だって、生存戦略としては、最強だもん。」
「アーティストは割と飽き性の人が多い、すぐにテーマや表現方法を変えてしまう。この人と言えば、〇〇という代名詞的なものに行きつく前に、世間に認知される前に、消えてしまうんだ。アーティストには、変わらない強さも必要なんだよね。」
「ピカソは、変化し続けたけど、変化が代名詞になっていた。」
「ダイラさんの代名詞は、プラネタリウムシリーズと特殊照明だ。」
「コラボアーティストという代名詞もある。この天然謎エッセイもコラボ扱いしてくれているみたいだよ。」
「さすが、ダイラさんは世界を視野に入れているなぁ。」
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