第66話 ダイラ式☆手セレーション秘話

「本日は、ダイラさんの友人でもあるクワヤマダさんにインタビューをします。」


「緊張するなぁ。」


「ダイラさんの屋根のないプラネタリウムからスタートした、三角形の鉄板を繋ぎ合わせ形態を造形する手法について、クワヤマダさんの見解を教えてください。」


「う~ん。チーズクッキーを食べながら、三角形を繋ぎ合わせる手法を閃いたという噂があるけど、実は違うんじゃないかな。」


「謎が深まります。」


「オランダのだまし絵で有名なはご存知ですか?」


「1960年代、ドラッグをヤリながら見るとトリップする絵としてヒッピーたちから人気を博した画家ですよね。」


「晩年はそういう感じでアメリカ人から支持を得たようだね、ミックジャガーもレコードのジャケットを依頼したけど、断られたみたいだけど・・。」


「ペンローズが発明した無限の階段を用いた、だまし絵は日本でも流行りました。」


「実は、ダイラさん、エッシャーにシンパシーを感じていたんじゃないかと踏んでいる。」


「どこがですか?」


「エッシャーの父親は建築家だったんだ。日本でも仕事をしていたみたいだよ。福井県のみくに龍翔館しょうりゅうかんを手がけたのは、エッセルという人。その人がエッシャーの父親ってことは、最近まで分からなかったみたい。」


「なるほど。ダイラさんのご両親も建築家だったと聞いております。」


「エッシャーは数学的な作風を売りに作家をしていたけど、数学は大嫌いだったんだ。数学ができないために、父親のコネを使って、有名な大学の建築学科に入るんだけど、落第を重ね退学しちゃうんだ。」


「数学的な図形を組み合わせた造形作品が売りなエッシャーが!意外ですね。」


「ここからが、ダイラさんとの。ダイラさんも、三角形の図形を組み合わせているけど、すべてでやっているらしんだ。構造計算もしたりしなかったり。エッシャーも、数学が苦手だけど、であれだけの作品を世に残した。」


「根性でできるものなんですか!?」


「そこがダイラさんとエッシャーの不思議な接点。同じ形で空間を埋め尽くす行為は、簡単なようで実は凄い難しい。立体になると常人にはほぼ、不可能だよ。」


「エッシャーは、晩年、病気を繰り返したみたいですが、最期まで、無限シリーズの木版画をしていたと・・。」


「できちゃう人はできちゃう世界なんだね。〇〇ができないと、△△はできないという理論は天才アーティストには通用しないんだよ。〇〇はできなくても、△△はできますけど。というスタンスの人間は人類の中に数%いるんだよね。幼少期、あれこれできない子でも、眠っている才能がある可能性を信じて育てることが大切だと思うんだ。」


「ちなみに、同じ形態を空間に敷き詰める手法を何て言うんですか?」


「テセレーションだよ。そして、ダイラさんの三角形を引き詰める手法は、セレーションってとこかな。」






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