第60話 いとしのエリイ
「やっぱり、いとしのエリーはサイコーですね。せんぱい。」
「夏はサザンだね。江の島でも行く?」
「焼きホタテやハマグリ食べたいです!」
「じゃぁ、クワヤマダくんのおごりで。」
「そういえば、ムサビのエリィはどうしているかな。」
「ムサビのエリィ?」
「ちんぽむのエリィさん。」
「Chim↑Pomですね。」
「現代アートの講義でゲストティーチャーをしていた、生真面目な評論家さんが、Chim↑Pomのコレクティブ性について話すとき、アーティスト名をとても言いにくそうで、声が小さくなっていたり、ディムポムとか、ジィムポムとか、ネイティブっぽく濁らせていたりした。」
「そうですよね。中高の生徒だったら、美術教師が、このチーム名を言った瞬間、ざわつき、授業にならなくなりますよ。」
「彼らは、そこも狙っているよね。」
「たけし軍団みたいですね。浅草キッドの博士じゃない方の名前みたいに・・。」
「過激さで言ったら、昔のたけし軍団と似ているところもあるかもね。」
「電撃ネットワーク的なところも・・。」
「日本の現代アートに旋風を巻き起こした点で、Chim↑Pomのキャリアは凄いと思うよ。特に、エリィさん。」
「エリィさんは、何をしたんですか?」
「それが、よく分からないんだよね。とにかくChim↑Pomの象徴的な存在だよ。天照大御神みたいな存在。でも彼女はカトリック系の学校に通っていたから、マリア様?」
「リーダーの
「Chim↑Pomと言えば、やっぱりエリィさん。ルパン三世で峰不二子の存在が欠かせないみたいな。」
「TAROのアスシン(明日の神話)の下に、福島第一原発の爆発を描いたベニヤを貼ったり(原作には手を加えていない)、原爆ドームの上空にピカと描いたり、気合100連発(福島県相馬市の若者たちが円陣を組みカメラに向かって「気合い」の言葉を100発叫ぶ共同制作の映像作品)は、社会で見過ごされたり、置き去りにされつつある問題を正面から問い直す、魂の籠った作品だ。」
「人々が直視できない物事をテーマに問題提起するスタンスは、アートそのもの。」
「コンプライアンスを考えると簡単にはできないけど。」
「マリア・エリィ様がいるからこそ、汝の隣人を愛せ的な、精神が宿っているのかな。」
「愛は深いからね。理屈じゃ収まらない。Chim↑Pomの活動を受け入れがたい人たちもいるけど、人間愛と捉えれば、全てが許せるし、意味が繋がる気がするんだ。」
「愛はとこしえと、草間彌生さんも言っていますものね。」
「やっぱり、
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