第54話 ギフテッドの楽園

「クワヤマダくん、って知ってる?」


岐阜ぎふのナニカですか?」


「子どもの頃、ずば抜けた才能があるにもかかわらず、集団に馴染むために、わざと天然のふりをしていた子いなかった?生きにくそうにしていたタイプ。」


「う~ん。それは僕のことですね。」


「まぁいいや。クワヤマダくんもギフテッドとして、話を進めるよ。」


「僕は、クラスで一番絵がうまかったですよ!」


「ギフテッド の語源は、贈り物を意味する英語の、天から与えられた、または遺伝による生まれつきのらしい。一般的な人々と比較して、先天的に高い知性と深い共感的理解、高い倫理観、強い正義感、博愛精神を持っている人々なんだって。」


「なんだか、凄そうですね。身近にいたようないないような・・。」


「普段大人おとなしく、先生から質問されてもとしか言わないのに、テストで満点とる奴いなかった?」


「美大予備校の仲間で、東大を卒業した後、一年間浪人して、藝大受かった人がいました。」


「生まれつき、立派な頭脳と資質をもっているんだよ。」


「でも、僕からすると、ダイラさんもカルテッドだと思いますよ。」


「4人組じゃないから。ギフテッドね。」


「ダイラさんの作品には設計図が無いと聞いたことありますよ。構造計算もせず、イメージだけで作っちゃうって本当ですか?」


「半分本当かな。できちゃんだからしょうがいないよね。」


「それこそ、天賦の才能じゃないですか!」


「ムサビにいると、こいつはギフテッドかもしれないって思う奴がいる。講評会前日まで、しているんだけど、当日には作品を間に合わせ、しかも評価が高い。普段は生きにくそうにしているんだけど、表現の質が高く半端ないんだ。」


「古びた大便器に自分のサインを書いて、とかいう題名で教授に怒られていた奴ですか?」


「デュシャンの泉のオマージュだろ。あれは、ギフテッドじゃないな。でも、デュシャンはギフテッドだよね。レディ(既製品)がアートじゃんというをしたという点で。」


カフェ?」


「凄い、聞き間違えだね。メイドカフェの概念をつくった人も、ある意味ギフテッドだと思うよ。欧州では、きゃりーぱみゅぱみゅが人気だから。」


は、原宿の青文字系ファッションですけどね。」


「そうそう、新しい概念を生み出す奴なんかは、ギフテッドだと思うよ。」


「メイド喫茶の、萌え萌え、キュンキュンなんていう擬音(オノマトペ)は日本独自で、世界中の若者の心をつかみ取りました。」


「日本のオノマトペの種類は世界一らしい。YMOがという、おじさんトリオが歌う微妙な曲を発表して失速したけどね。」


「そう言えば、彫刻家でも、オノマトペを多用する人がいましたね。」


「モクモク・ワクワク・ヨコハマ・ヨーヨーのさんでしょ。」


「日本人の強みを早くから作品に概念化していた点で、彼も、ギフテッドだったかもしれないね。オノマトペが題名なんて!って初めは思ったこともあるけど、日本が誇るオノパトぺの概念を彫刻にしていたと考えると、きゃりーぱみゅぱみゅに通じるものを感じる。」


「ムサビのモンスター!」


「確かに、生きにくそうだったよなぁ。得体の知れない学生たちと本気でぶつかっていたもんね。だったと言ったほうがいいかも。ギフテッドだと思えば、納得できる・・。」












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