第42話 スペシウムな交錯

「ダイラ先輩、ウルトラマンのスペシウム光線のポーズってどういう意味があると思いますか?」


「クワヤマダくん、実ははっきりとした理由はないんだよ。」


「みうらじゅんさんは、弥勒菩薩半跏像みろくぼさつはんかしいぞうのポーズじゃないかと言っていましたよ。成田亨さんもそれを認めたとか・・。」


「いや、実は、円谷さんがクリスチャンだったために、十字架を意味しているとも囁かれているんだ。」


「そう言われるとそう見えてくるかも。十字架の背後に、ウルトラマンの顔が浮かび上がるシーンは確かに神々しい。顔のモデルはキリストですか?」


「ウルトラマンの顔のモデルは、弥勒菩薩説が有力だ。口元はアルカイックスマイル、美大予備校で死ぬほど描かされる首象だ。顎のシャープさは、キリストかもしいれないけどね。」


「十字架と弥勒菩薩、アルカイック、キリストの融合ですか!」


「日本は古来、八百万神やおよろずのかみだろ、ありがたけりゃ何でも受け入れちゃう懐がガバガバなのよ。大らかというか・・。新しいモノ好きなのかな。」


「柔軟なヒーローなんですね。でも、ぼくは、あの目だけは受け入れ難いんですよね。あの目で見つめられたら怖くないですか?」


「確かにあの目は。憶測でしかないが、多分、新幹線のライトじゃないかと睨んでいる。」


「なるほど、新幹線が開発されたのが1964年、ウルトラマン放送開始されたのが、1966年ですから、ありえるかもしれませんね。」


「時速200kmを超える、高速鉄道は日本が初めてだろ、当時は、新幹線は日本の顔だよ。」


「あの流線形の顔で、キーンと高速で飛ぶ絵は、新幹線のようにしか見えなくなりますね。」


「田舎の子どもたちが、超高速で新幹線が通り過ぎる様を見る風景と、ウルトラマンが飛ぶところを見る風景は似てるよね。」


「戦後復興や高度経済成長と被せるのは、安易だけど、日米安全保障条約の匂いもプンプンしますね。」


「新幹線の前には、僕らを守ってくれる十字架(米国)がいる、突っ走っても大丈夫って意味ですか?スペシウム光線の意味が見えてきた気がします。」


「米国がいれば、どこの国が攻めてこようと大丈夫!オラオラ系の光線ですね。」


「まぁ、そこまでは言わないけど、あまり妙な空想をし過ぎると、夢が壊れちゃうから止めよう。」


「あともう一つ、わびさびの国、ジャパンが、なぜ、ウルトラマンのボディーをにしたのか謎です。のボディーじゃダメだったのでしょうか。」


「あれはさ、怪獣と闘っているときに、泥まみれになるじゃん。汚れを目立たせるためじゃないの?甲子園球児のイメージと被せてるね。あえて、きれいな白を汚して、美しく見せる。結局はわびさびにもっていこうとしてるんだよ。」


「もう、ウルトラマンが、帽子が脱げて坊主頭でグラウンドに転がる、高校球児にしか見えなくなってしまいましたよ!」


「米国との蜜月関係をしているんだよね。」


「また、後ろメタファーですか~。」








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