第35話 ゴーストの光源
ある日、ダイラの後輩、クワヤマダから相談を持ち掛けられた。
「ダイラさんは幽霊とかお化けを信じますか?」
「オレはゴースト好きだよ。」
「好きって、どういうことですか?」
「ゴーストはいてほしいと思っているよ。」
ダイラは、大学生時代にニューヨークに留学していた。(第22話)その時に、現代アートの勉強そっちのけで、FAOシュワルツという玩具店に入り浸る生活をしていた。
そして、もう一つのお楽しみが、映画ゴーストバスターズ(1984年公開)の聖地を見て回ることだった。
「ダイラさん、実は僕の部屋にお化けが出るんです。初めは、ポルターガイスト現象みたいに、バーベルが勝手に転がったんです。しばらくすると、ドアノブがガタガタなり始めて、気が付くと、小さく華奢な女の子が僕の目の前に立っていたんですよ!多分、首を絞められたような気がします・・。」
「ええ!それは凄いね!捕獲したの?」
「するわけないじゃないですか!僕は腰が抜けて、動けなくなりましたよ。そしたら、部屋の天井付近に黄緑色の光が彷徨い、女の子は消えました。」
ダイラは何となく、そのゴーストが誰だか見当がついていた・・。
「へー面白い!オレはニューヨークに行ったときに、ゴーストバスターズのラストで出てくる、霊界の破壊の神・ゴーザが出現したマンションに行ったんだよ。凄い感動してさ、おもちゃ屋で買った、プロトンパックを振り回したんだぜ!」
「警察とかに尋問されたんじゃないですか?」
「う・・うん。まぁ、いい思い出だね。」
★
2000年~コンタクトドームを制作する過程で、ダイラは様々な出会いと出来事があった。
ある年の夏休みに、コンタクトドームの中で寝そべり、星空を見るという企画を行った。
小中学生がたくさん集まり、夏の夜空を楽しんだ。
ダイラは、寝そべりながら、自分がやりたいことって何だろう、この先オレは何を作っていけばいいのだろうという思いに
その時だった。
子どもたちがざわつき始めた。
「え!何あれ?こわ!!」
光るものが妙なスピードで動き回っていた。
ダイラはポケットからスマホを取り出し動画を撮ろうとしたら、その不可思議な動きをする物体は消えた。
その後の子どもたちの興奮は凄かった。
星空を見ていて、たまに流れ星が落ちてきただけでも、子どもたちは騒ぐ。
しかし、あの謎の物体の動きは、子どもたちの心に一生残る。
ダイラの頭脳に電撃が落ちた。
★
「クワヤマダくん、オレが君の家に行って、除霊をするよ。任せてね!」
しばらくすると、ダイラはプロントパックさながらの装置を背中に身につけて、クワヤマダの部屋に入ってきた。
「おっしゃ!という掛け声で、細長い棒の先に黄緑色の光源をつけ、部屋の中で、その棒を振り始めた。」
クワヤマダの部屋には、妙な光が舞い、その動く光源を見た仕事帰りのサラリーマンが警察に通報した。
クワヤマダのアパートには消防、警察、ただの野次馬が大勢集まった。
ダイラは、自分にしかできない、新たなアートを見つけていた。
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