It rains.
四国が梅雨入りしたらしい。僕の生まれ育った場所。僕が生まれたところは、本当に雨が少ないところで、月に2、3回くらいしか降っていなかったのではないかと思う。そのため、よく水不足だと言われる。今日の石手川ダムの貯水率はどんなかんじなんだろうか。東京に来てまず驚いたことが雨の多さだ。週に一回かそれ以上は降っているだろう。瀬戸内海はその雨の降らなさに親しみを込めて「日本の地中海」とよく呼ばれる。地中海性気候(Cs)はお洒落なイメージが先行しがちだが、実際はそんなに美しい話じゃない。欧州圏で貧しい国はよく地中海に面している。スペイン、ギリシャ、トルコ(?)など。地中海の夏は砂漠気候とよく似ていて、雨がほとんど降らない。日光が燦燦と降りそそぎ、植物の成長に最適な季節なのに雨が降らないので大した作物は育たず、ぶどうやオリーブなどといった単収の低い植物だけが育つ。スペインなんかでは水よりワインの方が安いから、ワインを飲みながら農作業をするという話を聞いたときは驚いたものだ。
雨の好きなところ。僕が自室にいて、食べものが十分にあって、別に洗濯物を干しているわけでもないとき、大雨を聞くのが好きだ。自分の部屋にいるときの安心感。まるで籠城をしているみたい。自宅にいて、大雨の音を聞く。たまには少しだけ窓を開けてみる。冷たいと感じてすぐ閉める。その繰り返し。
雨の嫌いなところ。湿度が高くて甚だ不快なところ。本やノートがめくりにくくなるところ。洗濯物が乾かないところ。傘を差さないといけないところ。そういえば!
この前初めて傘を盗まれた。怒りの感情はたしかにあったんだけど、それより驚きとか初めての感動の方が大きかった。ラーメン屋だったのでみんな心構えはしっかりしてると信頼して店前に置いておいたんだけど、どうやら違ったらしい。
別にこれは梅雨に限った話ではないのだが、世の中には「雨」に焦点を当てた作品が溢れている。曲だったり、映画だったり。『言の葉の庭』は雨が降る月曜の午前中の話だったかな。雨が人をめぐり合わせた。古文の世界では、雨は人の帰りを遅らせるもの。「雨が続いてくれたら、あの人ともう少し一緒にいられたのに」
今僕が書いた過去の話の題名だけ見てきたんだけど、雨っぽいのが5つくらいあったのでけっこう好きなんだと思う。雨は神秘的なものだ。科学的なことはわからないけれど、そう感じるようになっているのかもしれない。しばらく降り続いた雨が海となり、そこから生物は生まれた。大げさだが、雨が僕らを創り出したとも言える。今、ことあるごとに雨が好きだと言っていた友達をひとり思い出した。高校を卒業してから高校の同級生とはあまりあっていないけど元気にしているのだろうか。
関東はいつ梅雨入りするのだろうか。梅雨の足音はすぐそこに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます