Pistol Star

 名前だけ知っている公園で、殺人事件があった。その公園はいろいろあって潰されてなにかの建物ができるとのことだ。


 人は必ず、何かしら心の拠り所をもっている。それがなんでもない「公園」であることも決して珍しくない。東京に来てから気づいた。夜、公園を歩いているとさまざまな人と出会う。いわば縮図である。大声ではしゃいでいる中高生がいる。夜になったからいいじゃないか、と球技禁止の公園でキャッチボールをする親子がいる。はたまたタバコを吸うスーツ姿の男がいる。そして、毎日決まった時間に来ては、ダンスの練習をしていく若いのもいる。


 その公園がなくなったら、その人たちはどうなってしまうんだろうと思う。彼らの中には当然、「望んで」来ている人もいれば、何も考えずともそこに行き着く人もいるんだろう。


 公園がなくなったところで生活の基盤が失われるわけではないのだから、ダムのような活動は起きまい?



 その、「公園でダンスを練習していく男」と仲良くなったんだ。彼は東京出身でずっとこちらに住んでいるらしい。なにか大会があるらしく、そのためにがんばっていることの。初めての邂逅が、僕が竹刀を持って素振りをしていたときのことだから公園を自由自在に使っているものどうし気があったのかもしれない。

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