第44話 無題 2022.5.27

 最近、僕は、よくクラシックを聞いている。クラシックとショパンのピアノ曲ばっかりだ。中学3年生のころもよく聞いていたから、再燃したというのが正しいのかもしれない。今思えば、なんで当時は聞いていたのかな。聞くのはたくさん聞いているけれど、僕はピアノが弾けるわけではない。弾ける人は本当にかっこいい。街なかにあるストリートピアノとかを弾いてみたいものだけれど、僕には無理だ。中学校のときの合唱コンクールとかで伴奏している人たちも、かっこいいなと思いながら眺めていた。僕がピアノの曲を聞くようになったのはリストの「ラ・カンパネラ」という曲にハマったからだ。その後は「英雄ポロネーズ」がかっこよすぎてそればかり聞くようになって、だんだんとショパンの他の曲も聞くようになっていった。ここに書くのも恥ずかしいけれど、心のどこかでは「クラシックを聞いている自分はかっこいい」みたいに酔っていたのかもしれない。なんとしてでも隠したいから、恥ずかしい感情というものは自分ではけっこう気づきにくいものだ。最近ではただただピアノの音が好きになっている。もしもピアノが弾けたなら...(知っている人いるかな?)


 学校生活の中では行事がたくさんある。入学式から始まって、体育大会や文化祭、修学旅行とかクラスマッチ、そして卒業式とか。毎年あって、よく気合が入るのは体育大会と文化祭だった。僕は特別運動ができるわけじゃないし、歌が上手なわけでもないけれどどちらの行事も好きだった。結果はどうであれ、今では最高の思い出だ。最下位だったけど打ち上げもした。理由はわからないけれど、僕はパートリーダーを2回くらいやったこともあって、文化祭がとても好きだった。文化祭といえばバザーとかをみんなイメージすると思うんだけど、僕のところは合唱コンクールと同時開催で他には人権劇とか、希望者がステージの上でなにか発表をしたりしていた。みんな、一日を通して浮かれていた。学校の空気も浮ついていて、校門をくぐると異世界が広がっているようだった。行事自体が楽しいのはもちろんのことだ。僕は、準備もそれと同じくらいか、あるいはそれ以上に楽しかった。合唱では、さっき書いたようにパートリーダーだった(押し付けかもしれないけど)ので夏休みも呼び出された記憶がある。パートリーダーしか来ないので、5人くらいしか音楽室にはいない。好きな人と一緒だったりすると気分が高揚したものだ。準備といっても、合唱のことだけではない。僕は保健委員会に何回も入っていたので、保健委員会に与えられた仕事をしていた。体育大会では審判の仕事がきて、合唱ではお茶室の設営と運営だった記憶がある。体育大会と文化祭の両方とも、ただ普通に参加するだけでも楽しいけれど、なんか係の仕事があって忙しいのも小説みたいで、なんだか楽しかった。


 ただ、残念ながらこの学校はそんなに行事に力を入れていない気がしてしまう。体育大会も本番同様のリハーサルはしていない。まあ、もともと体育の授業数が少ないし、雨が降っていたからどうしようもないか。なにより、文化祭に合唱コンクールがないと聞いてときは驚いた。どこの学校でもやるもんだと思っていたから。そうか、あれは中学生だけの特権なのか。「あたりまえのぬくもり、失くして初めて気づく。」というやつか。僕が一番好きといっていいくらい好きな合唱曲だ。



 声に出したら引き止めそうさ 心で呟く


 ”僕は僕の夢へと 君は君の夢を”

 

 ”我侭だ”って貶されたって 願い続けてよ


 その声は届くから 君が君でいれば

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