第一章 突然の求婚者①
お元気でいらっしゃいますか。
庭の
いつの日かご一緒にお花見に行けたらと夢見るのも、今年で何度目になるでしょう。
御使い様。あなた様は、今、どこにいらっしゃるのでしょうね。
お
御使い様。結蓮はもう大人になりました。
どうか、早く、早く迎えに来てくださいね。
◆
月まで
都のとある
家同士で決められた
「──なぜそんなものを持っているのだね?
遅れて寝室に入った花婿が、それに気づいて
赤い布と花で飾られた寝台に
「……どうかお許しを。母の形見なのです。
若い娘とは思えない、ひどく静かな声だった。
早くに母親を
「いいだろう。ただし、
「……っ、これは……!」
花嫁は確かに美しかった。白絹のごとく清らかですべらかな
だがなぜだろう。
「いや──
「……」
花嫁が無言で目を伏せる。そんな
「では……
彼女は富豪の
と、その時。
「
突然、
今宵は
だが
「
その
それまでろくに口もきかず借りてきた
「な──結蓮
「……太子殿下に
低くつぶやきながら
「豊結蓮、ただちに登城つかまつります! ──
「ぬおっ!」
戸口へと
残されたのは
「……だ……誰か、誰かいないか! 花嫁が──」
「花嫁が、また逃げたぞ────っ!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます