第14話 side ルキウス•ラモン 02
食事の間、イリは「これはなに?」を連発した。
食材を見ては「これはなに?」、飲み物を飲んでも「これはなに?」。
爛々とした闇色の瞳が輝いていた。
「おいひぃです。」
「葛だ!葛があるんだ!」
「甘っ!甘すぎるー!」
ひとしきり見て食べて満足したイリは、母を見て思い出したように言った。
「奥さまのお食事には、生野菜やお肉が足りていないと思います。」
私を含めたその場の全員が、幼いイリの発言に不可解な顔をしていた。
ーーいきなりなにを言っている??
イリ曰く、この屋敷の食事は「エイヨウ」が偏っているらしい。
食事の成分のことを言いたいらしい。
「奥さまのお皿には生のものが一切ないし、主食の甘いパンばかり手をつけているもの。きっと食事の偏りがこの前の体調不良にも関係あると思うんだけど。。。たぶん。。。」
「トマトや葉野菜は生で食べると、栄養が吸収しやすいはず。お肌の調子だって良くなるし。」
やや自信なさげな口調で、ぼそぼそと呟く。
皆の表情は未だ曇ったままだった。
が、母だけは違った。
「あらあら、そうなの?わたくしを助けた小さな天使が言うなら食べてみる価値がありそうだわ。」
ーーえ、生のままで食べるなど、大丈夫なのか?
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