第3話 わたしの7人の叔父
わたしの家族はこの世界のいわば中間層、贅沢をしなければ父の収入で家族みんなが衣食住に困らず暮らせる。
そんな安定した家計・・・のはずだった。
はずだったというのも、我が家には金銭的に問題があった。
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わたしには、7人の叔父がいる。
母の父親(つまりはわたしの祖父)が大変な恋愛体質であったために、長女であった母には7人の弟が続々と産まれた。
彼らは母親こそ違うものの仲のよい姉弟だったが、自らの妻と子供たちの家族全員を養うには、靴職人の祖父の収入はささやかなものだった。
母が結婚して家を出ても、まだ育ち盛りの叔父たちは、我が家の夕食を目当てに毎日のように通ってきていた。
母を愛する父は、義弟たちを快く受け入れたが、食費が膨れ上がって家計は火の車だった。
母は愛情深い父に申し訳なく思いながらも、節約をしながら、父の大きな愛に感謝して弟達に食事を与えていた。
12歳だったわたしはささやかで、とても賑やかな食卓にぽつんと座り、黙々と食事をしていた。
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あまり会話をしないわたしの趣味は、今も昔も、土いじりだ。
畑仕事をする婆ちゃんの後ろでする、楽しいお手伝いは至福の遊びだった。
無駄にはシビアな母も、料理に役立つからと近所の知り合いから種をもらったりしてわたしの趣味を応援してくれていた。
家の横にある小さな土の空間を耕して、食べられる野菜や草を育てることがわたしの日課だ。
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この男と出会った日も、わたしはいつものように、せっせと井戸から水を汲んでは、野菜に水を与えていたのだった。
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