第14話
「
「は、はい。」
「ああ、いえ、覚えるために反復しただけです。」
「あっ、そうでしたか。」
依頼人の名前を覚えるのは大事なことだ。
今後どこかで名前を見かけたら、すぐに思い出さなければいけない。
「では、少し話してきますので待っていてください。すぐに終わりますから。」
「はい、分かりました。」
『お兄ちゃん、なんかカッコいいね。』
会議室に向かう途中、モモにそう言われた。
『…そうか?』
『うん、カッコいい。』
『そうか…。』
ちょっと…嬉しいな。
そうか、これはモモにとってカッコいいのか。そうか。
『お兄ちゃん、分かりやすい。』
『あ?あ~おう…。』
そんな顔に出てたか?
『戸惑い過ぎじゃない…?』
『最近褒められることなかったからな。』
あいつらは認めはするが、褒めはしない。
そうしたら上下関係が出来るとかなんとか言ってたが…。
『お兄ちゃん、なんか前よりいいとこ来たんじゃん?』
『…まあ、そうだな…。』
確かに、前に比べたら、良いかもしれねぇな。
久々にモモとそんな会話をしていたら、あっという間に会議室に着いた。
「ね~おそ~い。」
会議室に入って早々、
「んなこと言ったって、たかが数分だろ。」
「待ってるほうは長く感じるものなのです。」
「とにかく、そう言うなら依頼人待たせるわけにもいかねぇし、会議すんぞ。会議。さっさと情報頭ん中入れて、役割決めるからな。」
「「は~い。」」
「分かった。」
「分かりました。」
「はぁ…。貰った情報としては、この写真に写ってるこいつらが依頼人を付けてる奴で、そいつらを何とかして欲しいって言う内容だな。んで、こいつは俺らを作った奴でアイラスって名前だ。顔と名前、覚えとけよ。依頼人の名前は安藤
全部を一気に言い終えて、確認をする。
「うん、大丈夫だよ。」
「だいじょ~ぶ!」
「把握しました。」
「承知した。」
全員の理解が得られたところで、次は情報収集だな。
「じゃ、ちょっと集めるから待ってな。」
『ん?どうやって集めるの?』
『まあ、見てろ。』
おそらくあの依頼人の近くにいるだろうな。
あの写真から取れる情報は…。
よし、あそこら辺だな。
あのあたりの通行人の記憶を見て…。
『お兄ちゃん⁉なにしてるの⁉それなに⁉』
モモは初めて見るからな。まあ、こういう反応するよな。
あいつらも最初ビックリしてたもんな~。
左目は白目が黒に。その下には黒いツタのような文様が浮き出てくる。
視界、聴覚、嗅覚、記憶、知識。
そのすべてを読み取っていく。
―――あった。ここだ。こいつだ。
もっと情報がないか?こいつは持ってる。
ははは、どんどん出てくる。
「よし、こんなもんだな。集まった。友人のフリすんのは
「は~い!分かったよ~!んじゃ、準備お願いね?」
「ああ、そうだな。んじゃ、始めっか。」
そうして、やっと依頼がこなせそうな状態が整った。
後は依頼人との打ち合わせと、行動だな。
ふう…頑張るか。
あいつまで、一歩だけ、近づいたんだからな。
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