第9話

「それじゃ、報告しま~す!」

黄月おうげつは持ち前の元気の良さで、大声で宣言した。

いつも通りなので、特にツッコむことはない。

「特にない!!!」

……ん?

黄月おうげつは満面の笑みでそう叫んだ。

「いや、お前、特にないはないだろ。特にないは。」

良い報告が出来ない場合でも、とりあえず何をしたか、どんなことがあったかは報告するようにと、最初に定例会議をすることに決めたときにルールとして決めたはずだが?アホか?

「いや~実はね~な~んもしてないんだよ~。えへっ♡」

黄月おうげつは悪びれもせず言う。

ゴンッ

「いったぁ!」

一発殴っておいた。

「殴ることないじゃん!」

「お前は反省しなさすぎだ。」

「うぇぇぇ~。」

それでも黄月おうげつは反省してるようには見えない。

ま、黄月おうげつらしいと言えばそうか。

「う~。でも、報告がない代わりに、提案があるんだよ~。」

「ん?なんだ?」

黄月おうげつは少し悪戯いたずらみたいな顔をして言う。

「みんなでお花見行こうよ!」

「いいな。」

「いいねぇ~。」

「いいですね。」

「はぁ?」

花見って…。しかも、何故か全員即了承してるし…。

「いや、行くのか?花見。」

「「「「行くに決まってるでしょ」います」だろ」よね~」

全員が一斉に返事をする。

「まじかよ…。」

もうすでに青月せいげつは準備をしてピクニックに行く気満々だ。

事前に黄月おうげつから聞いてやがったな。

黒月こげつ白月しげつは「お花見お花見♪」とか言って幸せムード全開。

『最悪だ…。』

紅月こうげつ、ドンマイ☆』

モモは満面の笑みでそう言った。

一発殴ろうか。

モモは俺の心を読んだのか、『スイマセンデシタ…。』とカタコトで目を逸らした。

なんかさっきもこんな会話しなかったか?既視感デジャヴ…。

『なんで花見…。』

『まあまあ、いいじゃん。最近張りつめてたっぽいじゃん?たまにはゆっくりしないと、体壊しちゃうよ~?』

『いや、あいつらの相手してるだけで疲れるから、宴会とか行きたくねぇ。』

あいつらは宴会とかになるとテンション上がり過ぎで俺が全部世話しなきゃならねぇんだよな。最悪なんだよ。それが。

『じゃあ、ほっとけば?』

モモはさも当然というように言う。

『いや、それはそれで周りに迷惑かけるからな。ちゃんとしてやらねぇと…。』

テンション上がり過ぎてとんでもないほど大声で叫んだり、その辺の花摘みまくったり、普通にその辺歩いてる人たちに花冠とかあげたり、子供とかは喜ぶんだが、その親がかなり嫌~な顔すんだよな…。

『そっかぁ~。』

モモは普通に納得する。マジか。

「さあ、ピクニックに行こう!」

黄月おうげつは近くの公園かどっかに行く気だ。

「おい、ピクニックはいいが、せめてうちの庭でやれよ。他んとこ行くんじゃねぇ。めんどくせぇから。」

「ええ~。せっかくみんなでお出かけ出来ると思ったのに~。」

黄月おうげつはめっちゃ残念そうだが、こいつらを外に宴会目的で出すわけにはいかないからな。勘弁してくれ。

「でも仕方ないですね。紅月こうげつお兄様には普段からお世話になっていますから、たまには休ませて差し上げましょう。私達が楽しめればそれでよいではないですか。黄月おうげつさん♪」

青月せいげつ微笑ほほえんでいる。

「なんでこいつらはこういう時自分の事しか頭にないんだ…。」

俺は思わず頭を抱えそうになった。

『ドンマイ☆紅月こうげつ☆』



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