第4話

「あがっ、あがっががががが…。」

しばらくして定例会議のために戻ったら、黄月おうげつがとてつもなくっちゃくなってうめいていた。これはマジで怒ってんな、青月せいげつ

青月せいげつは、【あい、悲しみをつかさどる能力】を持っている。

まぁ、元は俺のやつなんだが。それで、黄月おうげつを怒ったとき、たまに青月せいげつは能力を使うことがある。これはたぶん使われたな。能力。

『お兄ちゃん、この人、何やってんの?』

モモはとんでもなくしかめっ面で言う。まぁ、知らん奴が見たら何してんだって感じだよな。

青月せいげつ、流石にやりすぎじゃねぇの?こいつ今にも死にそうになってんぞ。余計にひどくなってんじゃねぇか…。」

黄月は頭を抱えて座り込んでいる。これから定例会議しなきゃなんだが…?

「これぐらいしておかないと、また次もこういううるさい状況になってしまいますから。紅月こうげつお兄様も、そう言った状況は嫌でしょう?なので、こういった措置そちを。」

青月せいげつはこういうとこ無意識むいしき無慈悲むじひだよなぁ…。まだ子供のいたずらに似てるっていうか…。

「仕方ねぇ。白月しげつ呼ぶかぁ…。なんでうちはいつもこうなんだよ…。はぁ。」

『なんか、お兄ちゃん大変そうだね。私のお兄ちゃんしてて良かったんじゃない?そうじゃなかったら、この状況についていけてないっしょ?』

『いや。別にそうだったらそれはそれで普通に世話係になってないだろ…。』

『そうかなぁ…?』

『そうだろ。』

『そっかぁ~。』

モモは納得したようで。てか、マジで何で俺下から二番目なのに長男感あるんだ?

絶対おかしい…。まぁ、良いか。

「おーい。白月しげつ~。黄月おうげつの心に光ともしてくれ~。あいつ死にそうになってっから。」

「ええ~。また~?まったく…。僕の…じゃなくて、紅月こうげつの能力、そういう使い方すると思ってなかったんだけどなぁ…。」

白月しげつ愚痴ぐちを言いながらも、黄月おうげつの元に向かう。

「うううううう…。もう無理ぃ…。青月せいげつに嫌われたぁ…。もう無理ぃ…。死ぬぅ…。あうううぅぅぅぅ…。」

白月しげつを呼んで戻ってくると、黄月おうげつはさっきよりもひどくなってた。死ぬって言っちゃってる。

「な?ひどいだろ?」

「確かに…。思った以上だね。うん。じゃあ、ともしてあげようか。」

そう言って、白月しげつは光をともした。

白月しげつは、【光をあやつる能力】を持っている。まぁ、これも元は俺のだけど。

白月しげつのこの能力は、ありとあらゆる「光」をあやつることが出来る。つまり、定義上の「光」もあやつることが出来る。だから、人の心を救うことも「光をともす」と定義し、能力を行使することが出来る。ちょっと、難しい仕組みなんだがな。

「あううう…。白月じげづありがどうぅぅぅ~。」

「ふふっ。そんなにかい?黄月おうげつ本当ほんと青月せいげつが好きなんだねぇ~。」

白月しげつ微笑ほほえみながら、黄月おうげつを抱きしめた。

相変わらず黄月おうげつは妹気質だし、白月しげつはお兄ちゃん気質だよなぁ。仲睦なかむつまじい兄妹きょうだいって感じだ。

そういや、青月せいげつ黒月こげつどこだ?

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