第3話

黄月おうげつお姉さま!!!」

「ひゃっ!!」

ホールの少し行った先にある廊下に、青月せいげつがいた。

「やっと来たか。待ちくたびれた。さっさと黙らせてくれ。」

「えっ⁉ちょっとひどくない⁉私がうるさいって言いたいの⁉ねぇ、ひどくない⁉私そんなうるさくした覚えないんだけど⁉ねぇ!!」

黄月おうげつは縋りつくように助けの目を向けてくる。

「いや、お前うるせぇだろ…。うるさくねぇはずねぇからな。」

「あああああああああああ!!!!義弟おとうとにうるさいって言われたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!しかも二回!!二回!!!わああああああ!!!!」

黄月おうげつはさらにクソデカい声で叫ぶ。どうにかなんねぇかな。こいつ。

黄月おうげつお姉さま。タメ口で喋らせていただいてよろしいでしょうか?」

「へっ?いや、うん、まぁ、良いけど…。」

いや、許可すんのかよ。お前にとってはあんまり良くない選択だと思うんだけどなぁ…。まあいいか。黙るなら。

「では、失礼…。」

そして一呼吸置くと、青月せいげつは一気にまくし立てた。

黄月おうげつお姉さま、なぜ毎回毎回私が言わないとうるさくする病が治らないの?あほなの?というか何でいっつもうるさいの?叫ばないと気が済まないの?なんで?いい加減私もこういうしょうもないことで怒りたくないんだけど、どうにかしてくれない?はやく直さないと私そろそろ絶交するよ?別れるよ?」

あっ。これはクリーンヒットするんじゃないか…?

「えっ。えっ?えええええ…?えっ?うそ…だよね?うん。嘘だよ。だって青月せいげつが私と別れるなんて言うわけないでしょ?うん。そうだよ。言うわけない言うわけない。うんうん。」

黄月おうげつは自分に言い聞かせるようにつぶやいている。

これは危険じゃないか…?逃げといた方がいいな。

『よし、逃げるぞモモ。』

『え?何で?』

『いいから部屋戻るぞ。』

『え~?これから面白くなりそうなのに~?』

モモが駄々をこねるのを無視して、俺たちは部屋に戻った。

「僕も部屋に戻ろうかなぁ…。」

白月しげつも部屋に戻っていった。

黄月おうげつは暴走すると青月せいげつにしか制御できないからな…。









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