第2話

「おはよ~!元気ですか~⁉」

朝っぱらからうるさく付きまとってくるのは、義理の姉の黄月おうげつ

黄色い髪を下の方で二つに結んでいて、黄色い目をしている。

「うるせぇ…。」

「あれ?あんまり元気そうじゃないねー。どしたどした?お姉ちゃんに話してごらん?ねえねえ!」

朝からうるせえなぁ。これが義理とはいえ自分の姉だとは思いたくねぇな…。

黄月おうげつ、ちょっとは静かにした方がいいんじゃないかな?流石にお姉さんには見えないよ?」

「ナイスだ。白月しげつ。」

白月しげつは俺の義理の兄で、白い髪を肩ぐらいに切り揃えて、黒から白のグラデーションの目をしている。

「ええ~?私はちゃんとお姉ちゃんしてるもんねー。ね、紅月こうげつ?」

「いや、お前はどっちかと言えば末っ子だ。そしてうるせえ。」

「わあああああああああ!ヒドイ!!それヒドイ!!!私の方が年上なのに!!何でそんなひどいこと言うの⁉私傷つくっ!!傷ついちゃう!!」

黄月おうげつは床に崩れ落ちんばかりに沈む。そして耳が死にそうなぐらいクソデカボイスで叫びやがる。

「うるせぇ…。お前が姉と思いたくねぇ…。」

思わず耳を塞ぐ。それを見てまた黄月おうげつが叫ぶ。

「あああああああああああ!!!またそうやって拒否るんだもん!!!やだぁぁぁ!!!!義弟おとうとに嫌われてるなんてみとめたくなーーーーい!!!」

よりうるさい声で叫ぶ。マジ嫌い…。てか、嫌われてんのは分かってんだな…。

『ねぇ、お兄ちゃん…。この人うるさいんだけど…。何とかしてよ…。』

今まで黙ってたモモが声を上げたと思ったら、やっぱり文句を言った。

『ああ、それは俺も同感だ。だが、俺にはどうしようもできないからな。

青月せいげつが来るまで耐えなきゃなんないんだよ。』

流石にみんなの前でおそらく俺以外には見えないであろうモモと喋るのは気が引けるので、心の中で喋ってみたのだが、伝わってんのか?これ。

『お兄ちゃん…。心の中で喋れたんだね。私たち。大発見だよ。』

モモは黄月おうげつが叫び続けるのを聞いているせいか、全然大発見というテンションじゃない。まぁ、大発見ではあるが。

『ていうか、いつの間にこんなに仲間を作ってたの?お兄ちゃんってあんまり群れない一匹狼いっぴきおおかみだと思ってたんだけど。』

モモが相変わらずしかめっ面のテンション低めな声で言う。

『俺は基本それだ。でも、こいつらと出会ったのは聖白せいはくさんのおかげだ。』

『えっ?てことは、この人たち…紅月こうげつも含めて星奴知せやち家の子供ってこと⁉ありえない!!』

モモは黄月おうげつに負けず劣らずのでかい声で叫んだ。

『お前もうるせぇなぁ…。その黄色い奴と、そこの白い髪の白月しげつ、さっき言った青月せいげつ、今はまだ寝てると思うが黒月こげつがいるんだが、黄色い奴と黒月こげつと俺は聖白せいはくさんに拾われた、まぁ、養子ってとこだ。何でここに来たかは、まぁ、あとで説明してやる。』

そう説明すると、モモは納得した顔をする。

『ああ。そういうこと。どーりでお兄ちゃんが他の人と馴れ合ってるわけね。全く、その黄色い人?だっけ。何とかしてくれる子、早く来ないの?』

いやぁ、あいつはなかなか異変に気付かないからなぁ…もうちょっとしないと来ねぇな…。そう思ってたら、やっと来た。

黄月おうげつお姉さま!!!」

「ひゃっ!!」

ホールの少し行った先にある廊下に、青月せいげつがいた。



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