俺の恋人は現在幽霊
黒白ノ巫女
第1話
いつもの朝。
何もない朝。
俺の隣には、誰もいない。
十年前は、居たはずなんだ。俺の隣で、笑ってる奴が。
「はぁ…。」
ため息をつきながら、起き上がる。
『わぁ!生きてたぁ!コウも死んじゃったかと思ったぁ。ていうか、ここ夢じゃないよね?私、死んだはずなんだけどなぁ。』
自分の目を疑った。俺は遂におかしくなったか?
今俺の目の前には、死んだはずの恋人…モモがいる。
『えぇ~。何でそんなに固まってんの?もうちょっと喜ぶとかさぁ、なんかあるじゃん!』
ビックリしすぎて固まってたら、モモに怒られた。
いや、そもそもこいつはモモなのか?
喋り方も、見た目もモモだけど…本物なのか?
ちょっと疑いの目を向けていると、モモ…らしき…人?が、より怒った顔になる。
『何でそんな疑った顔してんの~?私は私!
掴みかかる勢いで―掴めないけど―俺に近づく。
「あ~。おう。お前が正真正銘モモだってことは分かった。うん。だからちょっと離れてくれ。」
ちょっと十年ぶりにこの距離感はきつい。心臓が持たない。
『あれ?コウの顔が髪色並に赤いんだけど…。もしかして照れてる?え~可愛い!』
モモははしゃぎながら俺の周りを飛びながら回る。
ちゃんとモモだな。
ていうか、なんで急に幽霊?が見えるようになったんだ?
今まで声聞こえるとかもなかったしなぁ。
『それにしても、なんで急にこっち来たんだろ?私今まで天国?みたいなとこにいたはずなんだけどねー。』
モモは不思議そうに言う。確かに、不思議だけど。
そもそも天国ってあるのか?まぁ、どうでもいいか。
「なんかに引き寄せられたとかか?そういうの、なんかあったか?」
『う~ん。どうだったかなぁ…あっ!そうだ!そうだよ!私、あそこにいるとき、私に呼ばれたんだよ!』
「はぁ⁉」
自分に呼ばれるってどういうことだよ。そういうのって、他の誰かに呼ばれるんじゃないのかよ。
『急に叫ばないでよ…。耳が死んじゃうかと思ったじゃん。』
モモがしかめっ面で耳をふさいでいる。
「いや、お前耳ねえだろ…。」
全く、なんでこんなことになってんだ…?
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