第2話
ログインすると、まずはチームメンバーのログイン確認。
ふむふむ。
10人前後のログインを確認。
フィラール、ロレさん、ルーナ、こーりん、あ、るなむっどインしてる。珍しい。
よし、ちょっかいかけに行こう。
ファンタシースペースオンラインニュージェネシス、通称NGSは、一応、MMORPG(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲーム)である。
「大規模多人数同時参加型」とでも言えばいいだろうか。
大規模というにはちょっと参加人数限定されているので、MORPGが、正しいのかな。
とりあえず、wikipediaでは、そういう言葉が使われているのだけど、日本のあちこちからログインして、一緒に冒険できるゲームと思えば、そう間違いはない。
私は、そのゲーム内にログインすると、ただの「小笠原芙美子」からチームちょこころねのチームマスター「パグパグ」になる。
とても優しく、思いやりのあるマスターだ。
何せ、基本毎日ログイン。
そして、毎週土曜日には、必ず集会。
チームメンバーだけではなく、フレンドさんなんかも遊びに来られる場をつくる。
やることはいろいろ。
ミニゲームのタイムアタックだったり、チーム固定のトリガーアタックだったり、ファッションショー大会だったり。
PSO2というゲーム自体、9年もの歴史があるため、いろいろな遊び方がある。
ソロで、たった一人でログインしているだけでは、経験できない遊び。
そのためには、メセタも結構かかるので、そのあたりの資金はちゃんとプールして。
そして、できるだけみんながおしゃべりしやすいように。
積極的にチャットしていく方向性で。
「るなーーーーー」
チームチャットで叫ぶ。
「/toge」コマンド。
これを使うと、ゲーム内の吹き出しが、「叫び」の吹き出しになる。
「はい」
「ひさしぶりだな」
「ですねー。新しいスクラッチ出たみたいだったので」
見ると、アバターは、最新の衣装に包まれていた。
ミチーノセルヴィネフ。ショートのメイド服の手袋とレッグウォーマーのない方。
ご丁寧に、カラーチェンジ済み。
「おー、今日もかわいいでし♪」
「へへー♪」
私は「しゃがむ」ロビアクで、ちょこんとしゃがむ。
すると、目線は自然と下に。
ちなみに、ミチーノセルヴィネフのスカートはとても短い。
走り出すと、普通にパンツが丸見えになるのだが、当然目線を低くしても同じです。
「あー、マスターがパンツのぞいてる!」
背後から叫んでくるのはこーりん。
「変態デスネ!」
うむ、変態行為は認めるけど、ふんどし一丁キャラのきみが言うのはどうかと思うよ。
「ふふふふふ。うらやましいのか!」
「う……うらやましくなんかないもん!」
そう言いつつ、パグパグの隣にこーりんもしゃがみこむ。
「いやらしい」
ほのかさんのシンボルアートが連発される。
るなむっども結局「しゃがむ」ポーズで目線を合わせてくる。
こうなると、ただ三人がしゃがんでいるだけなのだが。
そうこうしているうちに、三々五々、チムメンたちが集まってくる。
ロレさんに、ルナ、セリアにルーナ。ほのかにアルフィ。
チーム「ちょこころね」は特定の集合ブロックを作ってはいない。
クラウドのメンバーも、PS4のメンバーもいるからだ。
無印のころは、チームルームがあったのだけどね……。
大体、どこかに集まろう、と言ってなかなか集まれるものではない。
メンバーは、みんなオンラインゲーマーだ。
こぞって集まれるほど、陽キャな面々ではない。
(偏見ちょっと入ってるのは自覚してるけどっ……)
たとえチームに所属していても、声かけられるのを待っている。
もしくは、「こうやって」集まりやすい雰囲気を作ってあげる。
10分や20分もすると、また自分たちのやりたいことに三々五々。
でも、別にそれでいい。
たったそれだけが、私たちをチームにする。
家族みたいなチームに。
私はそのために、ここにログインしているのだ。
「マスター、今週の集会、何やるの?」
ルーナが痛いところを突いてきた。
うん。何も考えてないのですよ。
「/toge 何も!」
トゲ付きで叫ぶ。
「/toge 考えていません!」
あ。
思いついた。
「春トリガー行こうか」
それだけでは面白くない。
私の中のアレなエネルギーが何か言ってる。
それでいいのか、と。
「こんばんは」
とログインしてきたのはチャンさん。
「こんばんは」
「こんばんは!」
「こんこん」
みんなが集まっているのに気付いたのか、しばらくすると、こちらのブロックにやってきた。
「何してるんです?」
「パンツ鑑賞してた♪」
「w」
ふと見ると、チャンさんはバニーガール一式を着ていた。
バニー。
ちょうど今週のSGスクラッチにバニーガール衣装があったな。
「決めた!」
「何をでし?」とロレさん。
「今週の集会は、バニーガールで春トリガー!」
うむ。我ながらいいアイデア。
ちょっと何人か引いてるなーってわかっちゃう感じのチムメンもいるが気にしない。
最大多数の公約数的幸福。
それが私のモットーだからだ。
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