登校①
姫華さんとの待ち合わせ場所へ向かう途中、私は不安があった。
姫華さんとどんな会話をしたらいいか。
付き添いの人たちの邪魔にならないか。
そもそも、その中でちゃんと会話できるのだろうか。
などなど。
そんなことを考えながら、待ち合わせ場所に着くと、すでに姫華さんが待っていた。
私は慌てて駆け寄る。
「お、おはよう姫華さん。」
「あ!おはようございます夢子さん!」
私が照れながらも挨拶すると、姫華さんが明るく挨拶を返してくれる。
「ご、ごめんね。待たせちゃったよね。」
「いえいえ!わたしも今着いたところですから!」
こんなやりとりをし終えると、そこでやっと気づく。
「あ、あれ?そういえば、いつもの人達は…?」
私はてっきり付き添いの人達も一緒だと思っていたので質問してみる。
「待ち合わせしてることと、わたしが二人で行きたいからと伝えて先に行ってもらいました!」
「そ、そうだったんだ。」
「二人だけの方が夢子さんも安心かなと思ったのですが。…もしかして、余計なお世話でしたかね…?」
「う、ううん。二人っきりじゃなかったら私話せなかったと思うから…。」
「えへへ!それならよかったです!」
「で、でも姫華さんは私と二人っきりでよかったの…?それに、あの人達も…」
私は付き添いの人達のことを少しだけ知っていた。
私が通う女子高には数々のファンクラブがあり、あの人達が姫華さんのファンクラブの人達だということを。
ちなみに、私のファンクラブもいつの間にかあるんだけど…。
って、今はそんな話はどうでもよくて。
「本当は姫華さんと一緒に登校したかったんじゃ…。」
「わたしはもちろん夢子さんと二人だけがよかったので!」
「そ、そっか。あ、ありがと。」
私は少し赤くなりながらも喜んでいた。
「それに、あの方達もですね…。むしろ、喜んでいたというか…。」
「よ、喜んでいたの…?それってどういう…」
「ま、まぁそれはお気になさらずに!」
そう言うと、そろそろ学校に向かいましょうかと姫華さんが提案する。
私は頭の中に?が残っていたけど、同意すると一緒に歩き始める。
それから、姫華さんとどんな会話をしたらいいかと不安だったことは、姫華さんが常に話題を振ってくれていたことで、解決する。
途中、同じく学校に向かっていた人達がなにやら嬉しそうにこちらを見ていたりしたが、姫華さんが注意をしてくれたおかげで、私は恥ずかしがらずに済む。
なにからなにまで姫華さん頼りになってしまったが、姫華さんとの会話は楽しく、姫華さんも楽しんでくれてたみたいで、二人で笑い合いながら会話ができた。
姫華さんには本当に感謝している。
そんなこんなで、そろそろ学校に着く頃だった。
校門前になにやら人だかりが出来ていた。
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