第29話 吉野さん再び
万願寺グループ崩壊が起きたあとの初めての週末、俺は駅前にやってきていた。
あのあと、俺の『女性をもの扱いするんじゃねぇ!!』という、恥ずかしい映像が流されたのと同時に吉野さんから週末に遊びに行かないかとREENがきたのだ。
そして待ち合わせ場所にはなぜか、おしゃれをした俺とスーツ姿の友梨さんが立っている。
どうしてこうなってしまったのかというと、俺は久しぶりに吉野さんに会えるということで二つ返事で了承したのだが、なぜかそのことが友梨さんにはバレていて送迎兼護衛役のため絶対についていくと聞かなかったため、こうして二人で吉野さんを待っているのだ。
「吉野凛。美容院『apricot』勤務の24歳。髪型は金色のショートカットで彼氏や婚姻歴は完全になしと。なっ!ム、胸が私よりもこんなに…ぐぐぐ…。」
「友梨さん、個人情報をこんなところで見ないでくださいよ。誰かに見られたら大変じゃないですか。」
「で、でもですね、悠様!この吉野という女は私よりも胸のサイズが4つも上なんですよ!こ、こんな大きさで悠様を誘惑なんてことになってしまったら…!」
「む、胸のサイズなんて俺に言わないでくださいよ!それに吉野さんはそんな人じゃないですから!そんなこと言ってると、家まで帰ってもらいますよ!」
「も、申し訳ありません……」
しゅんとして資料をしまう友梨さんに呆れていると、こちらに手を振って走ってくる吉野さんが見えた。
「お、遅れてしまってすみません!!!貴重なお時間を奪ってしまうなんてなんとお詫びをすれば……。」
「全然待ってないですから大丈夫ですよ。お久しぶりです吉野さん。その恰好も似合ってますね。」
美容院の時は白シャツに黒いパンツを履いていたが、今日は薄手の白のカーディガンを羽織りワンピースドレスというなんとも大人っぽいコーデだった。
さきほどの友梨さんの発言のせいでつい胸を見てしまったが、すぐに視線を顔へと移した。
「はひゃ…//あ、ありがとうございまふ…//そ、その御門さんもとても素敵です♡♡」
「ありがとうございます、そう言って貰えると嬉しいです。久しぶりに吉野さんと会えるってことで、ちょっとおしゃれ頑張っちゃいました。」
あははと笑いながらそう言うと、吉野さんはより1層幸せそうな顔になってえへへへと笑い出す。
「ゴッホン!悠様。そのようなことを仰るとこの方が勘違いされてしまいますよ。」
友梨さんの言葉でハッと正気に戻った吉野さんが、友梨さんのことを聞いてきた。
「御門さんこちらの方は…??」
「あぁ、すみません。今学校に通う時の送迎と護衛をしてくれている真壁友梨さんです。今日はどうしてもってついてきてしまって…。」
「はい。私が悠様の真壁友梨といいます。本日は悠様に危険が及ばないよう近くで見張らせていただきますので、どうぞお気遣いなく。」
護衛ね。護衛。それがあるのとないのじゃ全然意味違うから!!!
「へぇ…。そうですか。出は今日はよろしくお願いしますね。護衛の真壁さん。」
なんだかバチバチとした雰囲気の二人を連れて、本日の目的である水族館へと移動することにした。
☆あとがき☆
今回ちょっと短めです!すみません!
すべては万願寺のせいです。そういうことにしときましょう。
万願寺のその後はもうしばしお待ちを!!
近況ノートでもお知らせしましたが、
Twitterアカウント開設しました~。
@okitsunemaru です。
小説の更新情報や、新作のお知らせなど発信していきますので、ご興味のある方は是非フォローしてください〜。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。